• 研究成果

アルマ望遠鏡、巨大ブラックホール周囲に驚くほどマイルドな環境を発見

国立天文台の高野秀路(たかの しゅうろ)氏と名古屋大学の中島拓(なかじま たく)氏を中心とする研究グループは、アルマ望遠鏡を用いて渦巻銀河M77の観測を行い、その中心部に存在する巨大ブラックホールのまわりに有機分子が集中して存在することを初めて明らかにしました。こうした分子はブラックホール周囲では強烈なエックス線や紫外線放射によって壊されると考えられていますが、今回の観測成果は大量の塵とガスによってエックス線や紫外線がさえぎられている領域があることを示唆しています。この成果は、高い感度と幅広い周波数帯の電波を一度に観測できる能力を兼ね備えたアルマ望遠鏡ならではの成果であり、謎に包まれた巨大ブラックホール周辺の環境を理解するうえで非常に重要な発見と言えます。

新星爆発の想像図
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した、渦巻銀河M77の中心部。アルマ望遠鏡で検出されたシアノアセチレン(HC3N)の分布を黄色、硫化炭素(CS)の分布を赤、一酸化炭素の分布を青で示しています。シアノアセチレンが活動銀河核のまわりに多く存在しているのに対し、一酸化炭素は主にスターバースト・リングに分布していることがわかります。また、硫化炭素は活動銀河核のまわりとスターバースト・リングの両方に分布しています。 オリジナルサイズ(148KB)

この観測結果は、Takano et al. “Distributions of molecules in the circumnuclear disk and surrounding starburst ring in the Seyfert galaxy NGC 1068 observed with ALMA”(2014年8月発行の天文学専門誌「日本天文学会欧文研究報告」)、およびNakajima et al. “A Multi-Transition Study of Molecules toward NGC 1068 based on High-Resolution Imaging Observations with ALMA” (2015年2月発行の天文学専門誌「日本天文学会欧文研究報告」)に掲載されました。

詳しくは、アルマ望遠鏡、巨大ブラックホール周囲に驚くほどマイルドな環境を発見をご覧ください。

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