自然科学研究機構 国立天文台

軌道面が傾いた小惑星の人口調査

研究成果

国立天文台と兵庫県立大学の研究チームは、すばる望遠鏡による観測で黄道面(地球の公転面)に対して大きく傾いた軌道の小惑星400個以上をとらえ、直径1キロメートル未満の小さな天体が黄道面付近の小惑星に比べて少ないことを発見しました。この観測結果は、高速度で起こる小惑星どうしの衝突では大型の小惑星が破壊されにくい一方で、小型の小惑星は相対的に破壊されやすく、早いペースで失われてしまうことを示します。このことから、惑星の重力によって小惑星の軌道が激しく乱され、高速衝突が頻発していた太陽系初期の時代には、小惑星の「衝突進化」は現在とは異なるペースで進んだと考えられます。今後、小惑星の衝突速度と強度特性の関係がさらに明らかになれば、小惑星の形成と進化についての理解がより深まると期待されます。

すばる望遠鏡主焦点カメラSuprime-Camの画像から検出された小惑星。同じ領域を20分間隔で撮った観測画像
すばる望遠鏡主焦点カメラSuprime-Camの画像から検出された小惑星。左の2枚は同じ領域を20分間隔で撮った観測画像。一番右は観測画像に処理を施して作成された画像。背景の恒星や銀河が隠され、移動する小惑星だけが見える。小惑星は露出時間(4分)の間にも画像上を動くため、その星像は移動方向に伸びた形状となる。
観測された小惑星の「人口分布」のグラフ
観測された小惑星の「人口分布」。横軸は小惑星の直径、縦軸は累積個数(その直径よりも大きな天体の総数)。直径1キロメートル付近に折れ曲がりが見える。オレンジの点線は今回の観測でとらえることのできる小惑星の大きさの限界(直径0.56キロメートル)。赤い丸は分布の勾配が測定された範囲、×印は測定からは除外された範囲で、青と緑の直線はそれぞれ1キロメートルよりも小さい範囲と大きい範囲から算出された分布の勾配を表します。

この研究成果は、2013年11月5日に発行される天文学誌『アストロノミカル・ジャーナル』に掲載されました。
Terai et al. 2013, "High Ecliptic Latitude Survey for Small Main-belt Asteroids", Astronomical Journal, Volume 146, Issue 5, article id. 111)

詳しくは、軌道面が傾いた小惑星の人口調査(すばる望遠鏡)をご覧ください。

関連リンク