- 研究成果
巨星に2個の巨大惑星を発見-日豪協力による初成果
東京工業大、ニューサウスウェールズ大、国立天文台、広島大、兵庫県立大からなる研究グループは、岡山天体物理観測所188cm望遠鏡とアングロオーストラリアン望遠鏡を用いた観測により、HD4732と呼ばれる巨星を周回する二つの巨大惑星を発見しました。
岡山観測所では2004年8月にこの天体の観測を始めました。その後1~2年ほどが経過すると、この天体は公転周期約1年の惑星をもつことが判明し、さらに観測を継続すると、より長周期の二つ目の惑星が存在する可能性も見えてきました。しかし運の悪いことに、この天体は南天の星で高度が低く、岡山観測所からは約半年間しか観測できません。そのため、一つ目の惑星の軌道が決められず、二つ目の惑星が本当にあるのかどうかも長い間疑わしいままでした。
そこで、2010年9月からオーストラリア・ニューサウスウェールズ大の研究者と協力し、アングロオーストラリアン望遠鏡での観測を始めました。南半球にあるオーストラリアからは岡山よりも長い期間この天体が観測できるため、公転周期約1年の惑星の軌道をきちんと決めることができました。その結果、二つ目の惑星の存在も確定的となり、その公転周期は約2700日であることが分かりました。
複数惑星系には、惑星系の形成や進化の研究にとって重要な情報が含まれています。特に巨星で複数惑星系が見つかった例はまだ少なく、今後の観測の進展が期待されます。研究グループは今回成功した日豪協力を引き続き推進し、複数惑星系を含むより多くの惑星系を発見していきたいと考えています。
この研究論文は、米国アストロフィジカル・ジャーナル誌 2013年1月1日号に掲載される予定です。