- 研究成果
天の川銀河の中心部に巨大ブラックホールの「種」を発見
慶應義塾大学の岡朋治(おか ともはる)准教授らの研究チームは、我々の住む天の川銀河の中心部において「温かく濃密な」分子ガスの塊を複数発見しました。これらのガス塊は毎秒100キロメートル以上という極めて速い速度で運動しており、多数の超新星爆発によって加速されたものと考えられます。そのうち最もエネルギーの大きなものは、超新星爆発200発分にも相当する一方で、年齢は6万年程度という短いものでした。このことから、このガス塊の位置には質量が太陽の10万倍以上の巨大な星団が埋もれていることが推測されます。
このような巨大星団の中心部では、星同士の暴走的合体によって中質量ブラックホールが生成すると考えられています。これらの中質量ブラックホールは、銀河中心核の巨大ブラックホールを形成、そして成長させる「種」となるものです。
本研究成果は、下記三つの論文で発表された内容をまとめたものです。
- Tanaka, et al. 2007, Publications of the Astronomical Society of Japan, vol 59, pp.323
- Oka et al. 2008, Publications of the Astronomical Society of Japan, vol. 60, pp.429
- Oka et al. 2012, Astrophysical Journal Supplement Series, vol.201, pp.14
