• 研究成果

すばる望遠鏡が見つけた宇宙最遠方の銀河団

総合研究大学院大学の利川潤氏、国立天文台の柏川伸成准教授、京都大学の太田一陽GCOE特定研究員を中心とした研究チームは、すばる望遠鏡を用いた観測により、127億2000万光年先にある「原始銀河団」を発見しました。これは現在知られている中で最も遠い原始銀河団です。127億2000万年前の宇宙、すなわち137億年の宇宙の歴史の中で、宇宙年齢がまだ10億年にも達しない初期宇宙に、すでに銀河団が存在したことを示します。すばる望遠鏡の広い視野と、暗い銀河まで見つけ出すことができるほどの大口径であること、この2つの特長を活かすことで、非常に稀な天体である原始銀河団をこれほどにも遠くから見つけ出すことができました。

さらに、発見された原始銀河団の内部構造を詳しく調べてみると、いくつかの銀河のグループを形成しているような傾向が見られました。より大きな銀河団を作るために小さな銀河集団が集まり始めた様子を、私たちは目撃しているのかもしれません。本研究の成果は、宇宙の構造形成や銀河進化の解明に重要な手がかりを与えるものと考えられます。

今回の観測で分かった 127億年前の銀河の分布。白丸が銀河を表し、大きな丸ほど明るい銀河を表しています。背景は銀河の数密度を表し、銀河が集中している場所を赤く示しています。下・左側の軸は 127億年前の宇宙での大きさ、上・右側の軸は天球面上での見かけの大きさを表します(1分角は1度の60分の1の角度)。画像下側に非常に赤い部分、すなわち銀河の数密度が周囲よりも顕著に高い領域(原始銀河団)があることが分かります。右は原始銀河団付近を拡大したものです。
今回発見された原始銀河団の中心領域(1.7分角?1.2分角)を拡大した画像(すばる望遠鏡で撮影)。◯で囲んだ赤い天体が127億光年先にある銀河。

この研究は、米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」の2012年5月1日号に掲載が予定されています。

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