- 研究成果
すばる望遠鏡が見つけた宇宙最遠方の銀河団
総合研究大学院大学の利川潤氏、国立天文台の柏川伸成准教授、京都大学の太田一陽GCOE特定研究員を中心とした研究チームは、すばる望遠鏡を用いた観測により、127億2000万光年先にある「原始銀河団」を発見しました。これは現在知られている中で最も遠い原始銀河団です。127億2000万年前の宇宙、すなわち137億年の宇宙の歴史の中で、宇宙年齢がまだ10億年にも達しない初期宇宙に、すでに銀河団が存在したことを示します。すばる望遠鏡の広い視野と、暗い銀河まで見つけ出すことができるほどの大口径であること、この2つの特長を活かすことで、非常に稀な天体である原始銀河団をこれほどにも遠くから見つけ出すことができました。
さらに、発見された原始銀河団の内部構造を詳しく調べてみると、いくつかの銀河のグループを形成しているような傾向が見られました。より大きな銀河団を作るために小さな銀河集団が集まり始めた様子を、私たちは目撃しているのかもしれません。本研究の成果は、宇宙の構造形成や銀河進化の解明に重要な手がかりを与えるものと考えられます。


この研究は、米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」の2012年5月1日号に掲載が予定されています。