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三鷹・星と宇宙の日2020:今年はオンラインで「ようこそ三鷹キャンパスへ」
毎年人気の三鷹キャンパス特別公開『三鷹・星と宇宙の日』(注)を2020年10月24日(土曜日)に開催しました。今年は、新型コロナウィルス感染症拡大防止のためにオンラインでの開催とし、当日のメインライブ配信を柱に、7つの特設コンテンツを用意しました。
メインライブ配信と特設コンテンツ
10時 | オープニング | 常田佐久(台長)、縣秀彦(天文情報センター) |
10時10分~ | 太陽系の時間 | 勝川行雄(太陽観測科学プロジェクト) 末松芳法(SOLAR-Cプロジェクト) 竝木則行(RISE月惑星探査プロジェクト) 渡部潤一(副台長) |
11時~ | 星と惑星の時間 | 石垣美歩(ハワイ観測所) 深川美里(アルマプロジェクト) 片岡章雅(科学研究部) 堀安範(アストロバイオロジーセンター) 青木和光(TMTプロジェクト) |
12時~ | 天の川銀河の時間 | 郷田直輝(JASMINEプロジェクト) 廣田朋也(水沢VLBI観測所) 梅本智文(野辺山宇宙電波観測所) 麻生洋一(重力波プロジェクト) |
13時~ | 特別講演: 視力300万で探る巨大ブラックホール観測最前線 | 秦和弘(水沢VLBI観測所) |
14時~ | ディレクターが行くぶらり国立天文台探訪 | 先端技術センターの皆さん 天文データセンターの皆さん 経理課の皆さん、ほか |
15時~ | 特別講演: すばる望遠鏡で挑むダークマターの謎 | 宮崎聡(先端技術センター) |
16時~ | 特別講演: 超新星とダークエネルギーの謎 | 土居守(東大天文学教育研究センター) |
17時~ | 天の川銀河を越えて | 田中賢幸(ハワイ観測所) 臼田-佐藤功美子(天文情報センター) 大内正己(科学研究部) 小久保英一郎(天文シミュレーションプロジェクト) 松田有一(アルマプロジェクト) |
18時~ | エンディング | 渡部潤一、山岡均(天文情報センター)、縣秀彦 |
「三鷹・星と宇宙の日2020オンライン」の柱となるメインライブ配信は、なんと8時間30分!今年は「ブラックでダークな宇宙」を講演テーマとし、「ブラックホール」、「ダークマター」、「ダークエネルギー」がキーワードとなる特別講演のほか、国立天文台の研究者による研究紹介、その研究活動を支える人々の紹介と、盛りだくさんの内容となりました。
メインライブ配信のほかにも、この日のために用意したさまざまなコンテンツを特設サイトに準備しました。
また、当日の夜は晴天に恵まれ、三鷹キャンパス内の50センチ公開望遠鏡から「特別オンライン観望会」を行い、月、木星、土星、火星のようすを配信しました。
注:国立天文台、アストロバイオロジーセンター、東京大学天文教育センター、総研大天文科学専攻の4機関が主催する三鷹地区の特別公開 本文へ戻る
オンライン開催までの道のり
例年、三鷹キャンパスに多くの来場者を迎えて開催する「三鷹・星と宇宙の日」は、一年の中でも最大のイベントです。しかし、オンラインでの開催は今回が初めてです。オンライン開催で来場者に何を伝えられるのだろう?飽きることなく見ていただくためにはどのような構成にすればよいのだろう……?
議論を重ねて決まったのは、メインライブ配信と特設コンテンツの二本立てにすること。メインライブ配信の構成は、太陽系から天の川銀河、銀河宇宙、そして宇宙の果てまで旅をするようなストーリーでの番組仕立てとし、さまざまな分野の研究を紹介すること。そこでは研究者だけでなく、それを支える人々の紹介もすることです。
このメインライブ配信番組の制作にあたっては、テレビ朝日の人気番組『超人女子戦士ガリベンガーV』の協力を得ました。主催側が提案したストーリーを膨らませ、より分かりやすい台本を作り上げていただきました。もちろん内容は、出演者と入念に検討を重ねました(入念すぎて台本の完成がぎりぎりになりましたが……)。
今回の大きな課題は、番組の視聴者にいかに「三鷹・星と宇宙の日」に参加していただくかでした。そこで、特設サイト訪問者から事前に天文・宇宙に関する質問を集め、それを台本に組み込んだり、当日の本番中に投稿された質問を進行役が取り上げたり、といった工夫をして、双方向性を意識しました。ただ、本番では質問の時間を十分に確保できず、また一つの質問からさらに膨らむ話題も多くあって、結果としてあまり多くの質問を取り上げることができなかったことが、たいへん悔やまれます。
そして当日
メインライブ配信の番組進行役は、テレビ朝日の大西洋平(おおにし ようへい)アナウンサー。番組終了まで軽快なテンポを保った進行はさすが!研究者らも、限られた時間内でできる限り多くの内容を紹介できるよう、準備万端で(小道具を持ち込む研究者もあり)カメラの前へ登場しました。一方、カメラの後ろにはスタッフが適切な間隔を保って待機。カメラ、音声、映像管理、配信、指示出し、そして次の登壇者の準備、机等の消毒……。配信された画面には見えない部分にも、さまざまな役割を担う大勢の人々が関わっていました。
さらに、時間通りに進んでいるか、内容に間違いはないか…ライブ配信ならではの緊張感が漂う中、主催側の職員も連絡を取り合いながら番組の進行を見守っていました。大きなトラブルもなく配信を終えることができたのが、何よりでした。
このメインライブ配信の当日の番組視聴状況は、YouTubeが1万1220視聴回数、ニコニコ生放送が1万7701人の来場者数でした。今回配信した番組はすべてアーカイブされ、ライブ配信終了後も引き続き視聴することができます。11月1日現在のアーカイブの視聴状況は、YouTubeが約2万2500回数、ニコニコ生放送が約1万8000人です。「三鷹・星と宇宙の日」の例年の来場者数が4000ないし5000人であることを考えると、遠方にお住まいの方、SNSを通じて初めてこのイベントを知った方など、オンラインだったからこそ視聴できた方も多いと思います。また、配信終了直後のニコニコ生放送のアンケートでは、およそ90パーセントの方から「とても良かった」という評価をいただきました。さらに主催者が行った視聴者アンケートでは、満足度が5段階評価で4.70(平均値)という結果となり、とてもよい評価をいただきました。
メインライブ配信をご視聴いただいた皆様、そして特設コンテンツを楽しんでいただいた皆様、ありがとうございました。
「三鷹・星と宇宙の日2020オンライン」特設サイトでは、メインライブ配信のアーカイブをすべて視聴することができるほか、今回新たに制作した特設コンテンツを引き続き掲載しています。主催者・協力者一同が力を込めて作り上げた「三鷹・星と宇宙の日2020オンライン」をぜひ、アーカイブでもお楽しみください。
2021年の「三鷹・星と宇宙の日」をどのような形で開催するかはまだ分かりませんが、星や宇宙のことを知る楽しみを皆様と分かち合うことができますよう、願っております。
最後になりましたが、テレビ朝日『超人女子戦士ガリベンガーV』のスタッフの皆様には、当日は言うに及ばず、膨大な量の台本作り等の事前準備を含めて多大なご協力をいただきました。厚く御礼申し上げます。
(三鷹・星と宇宙の日運営委員会事務局 日比野由美)