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IAU初!ダイバーシティとインクルージョンのシンポジウムを三鷹キャンパスで開催

国際天文学連合(IAU)シンポジウム「Astronomy for Equity, Diversity and Inclusion - a roadmap to action within the framework of the IAU centennial anniversary」が2019年11月12日から15日の4日間、国立天文台三鷹キャンパスで開催されました。IAU創立100周年に合わせ、天文学における男女共同参画、少数者や障害者の参画といった、ダイバーシティとインクルージョンの推進をテーマとしたシンポジウムです。性別や出身地、人種や国籍、使用言語、障害の有無など多種多様な人材のことをダイバーシティ、人材それぞれの個性を組織や社会に受け入れ生かすことをインクルージョンと言いますが、このようなテーマのIAUシンポジウムの開催は今回が初めてでした。
インクルージョンはIAUの大切な目標
IAUが策定した「2020-2030年戦略計画」に、「目標2: IAUはすべての国で、天文学という学問分野のインクルーシブな発展を促進する」とあるように、IAUはインクルージョンをその目標の一つに掲げています。そのためか、本シンポジウムに対する世界各国からの反響は大きく、IAU会長をはじめ、31カ国から124名もの参加がありました。参加申し込み数が会場の定員を大幅に上回る約240名に達し、残念ながらキャンセル待ちリストに名を連ねたままになった方が多数ありました。
本シンポジウムでは、基調講演4件、口頭講演57件、ポスター講演37件に加え、昼食時などに行った有志による議論4件や、天文学分野におけるインクージョンを推進するための行動を公約として記述した「三鷹決議(Mitaka Resolutions)」に関する特別セッション2件が行われました。

IAU100周年事業「触れる展示」も開催
IAU100周年事業の一つである触れる展示「輝け!地上の星たち☆(Inspiring Stars)」が、2018年にウィーンで開催されたIAU総会を皮切りに世界各地で開催されています。この展示を本シンポジウムのサテライトイベントとして国立天文台三鷹キャンパスでも開催しました。アメリカ、アルゼンチン、イギリス、オーストラリア、スペイン、チリ、日本、マレーシアからの参加者がそれぞれ開発した、視覚の有無を問わず触って理解できる模型や、データ音声化のデモを披露しました。シンポジウム参加者だけでなく、国立天文台職員も立ち寄り、この展示を楽しみました。

三鷹キャンパスにインクルージョンを!
よりインクルーシブな環境を実現するための工夫も行いました。三鷹キャンパスの触地図や点字付きの名札のほか、参加者が必要に応じて使える静音室や礼拝室、授乳室などを用意しました。会議中は、音声を文字で表記するためのパソコン要約筆記を提供したり、身体や経済的な事情で来場できなかった参加者と会場をインターネットでつないだ遠隔講演を、多数実施したりしました。IAU副会長であり本シンポジウムの実行委員長でもある渡部潤一国立天文台副台長も「IAU初のダイバーシティとインクルージョンをテーマとした当シンポジウムが、国内の天文学の動向に変化をもたらし、かつ国際的な研究コミュニティに向けてこういったシンポジウムが持続可能であることを提示し、さらなる行動につながることを望みます」と述べたように、本シンポジウムで行った工夫や議論が、参加者を通じて今後も実現されることを期待しています。
