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キモい科学とMitakaで海外にアピール ―― 米国学会でブース出展

海外での国立天文台の知名度は低いという現状があります。そこで国立天文台の認知度を上げるべく、国立天文台では海外の国際会議でブース出展を行っています。今回は海外出展のうち、「World Conference of Science Journalists(WCSJ、科学ジャーナリスト世界会議)」と「American Association for the Advancement of Science(AAAS、アメリカ科学振興協会)年次大会」の様子をお伝えします。

キモい科学で海外記者にアピール ― WCSJ

ポスターの前での集合写真
ポスターの前でパシャリ。都築寛子特任専門員(前列右から2番目)は魔女の帽子姿、山岡均広報室長(後列右から1番目)は骸骨のカチューシャを装着。

2017年10月下旬、ハロウィンで賑わう米国サンフランシスコで、科学メディア向けの国際会議(WCSJ)のブース出展を行いました。国内4つの大学・研究機関合同での出展です。

本会議の参加者は70カ国を超える科学メディア1,364人。科学記者はインパクトがあるものが好き。ちょうどハロウィンの時期ということもあり、共同テーマは「Japan’s CREEPY Science(日本語タイトル:日本のキモい科学)」としました。共同で作ったポスターには日本古来の妖怪のイラストや各機関自慢のキモい画像を掲載。国立天文台は「魔女が作った怪しい秘薬(?)」として、太陽の粒状班とそれを撮影したひので衛星の説明を掲載しました。ブース来訪者には、重力波など最新の研究成果のプレゼンに加え、Mitaka(注1)や「おウチで国立天文台(注2)」の実演を行いました。ハロウィンといえば仮装ということで、国立天文台チームも魔女の帽子をかぶりました。

日本のキモい科学のポスター
日本のキモい科学のポスター。海外では珍しい日本の妖怪のイラストとキモい画像が目を引いた。粒状班を見て、「これは何?」と興味をもつ記者多数。

来場者の反応も好評で、特に共同展示については「こういうインパクトがあるものを探していたのよ」と多くの記者から好評でした。さらにピューリッツァー賞(注3)を受賞したこともある著名な科学記者が「今回の最優秀展示賞はこのブース」とツイッターで紹介。「この展示も魔女の帽子も良いわね」とお褒めの言葉も頂きました。

科学記者対象の国際会議ということもあり、アルマ望遠鏡やすばる望遠鏡、TMTについて知っている人も多くいました。しかしながら、日本が関わっていること、そして日本では国立天文台が関わっていることを知っている人はほとんどおらず、国立天文台について知ってもらえる良い機会になりました。

Mitakaで海外の子どもを虜(とりこ)に ― AAAS

AAASで国立天文台ブースを訪れたご家族
AAASで国立天文台ブースを訪れたご家族。NASAのTシャツを着た女の子は宇宙が大好き。Mitakaも楽しんで操作していた。

2018年の2月15日から19日。米国テキサスにて、アメリカ科学振興協会(AAAS)の年次大会が開催されました。本会議では日本学術振興会と国内の2つの大学・研究機関との合同で出展しました。米国や多くの国から1万人程の参加者が集まりました。WCSJは科学記者向けの会議でしたが、AAASでは科学記者以外にも、子どもたちとその家族、教育関係者、サイエンスコミュニケーター、研究者、学生など様々な方が国立天文台のブースを訪れました。ブース来場者には、国立天文台の取り組みを紹介するほか、宇宙を身近に感じてもらうために、Mitakaを体験してもらいました。

会期中の土日は子ども達も多く参加していました。Mitakaで宇宙を体験してもらっていたところ、多くの子ども達が「何のゲームで遊んでいるの?僕(私)もやりたい!」と近づいてきました。

Mitakaを遊び尽くしてくれた男の子もいました。まず、1回目にやってきた時は、Mitakaのプラネタリウムモードで星座を学び、宇宙空間モードで宇宙の大きさに驚いていました。そして、2回目に寄ってくれた時は、いろいろな探査機に近づいたり、時間を進めたりと、Mitakaを使いこなして宇宙について学んでいました。さらに、操作をしていくうちにだんだん熱中してきたのか、途中からはブースの地べたに座ってリラックスしながら、宇宙を自由自在に動かしていました。どうやらMitakaの虜(とりこ)になったようです。一緒にいた両親も「このソフトウェアにはまっちゃったみたいだね。ダウンロードするよ」と言ってくれました。

他にも、ある科学技術振興財団の職員にMitakaを体験してもらったところ、とても感動して、「娘は宇宙が大好きなのよ。明日、連れてくるわね」と言ってくれました。そして翌日、本当に娘を連れて来てくれました。Mitakaは子どもだけでなく、大人も虜にしてしまうようです。

AAAS年次大会では子どもから大人まで、幅広い年代に国立天文台とMitakaの魅力を伝えることができました。

国立天文台を世界に知ってもらいたい

今後も海外で国立天文台の認知度があがるように、宇宙や天文に少しでも興味を持つ人が増えるように、国際広報を進めていきたいと思います。

(注1)Mitakaは国立天文台の研究者たちが開発した天文学のソフトウェアです。Mitakaにはプラネタリウムのように地球などから見た星空が見える「プラネタリウムモード」と、地球から飛び立ち、宇宙旅行気分を味わえる「宇宙空間モード」があります。特に宇宙空間モードでは、太陽系の惑星や、銀河系、宇宙の大規模構造まで見ることができます。 本文へ戻る

(注2)国立天文台の施設をVRで見られる箱。すばる望遠鏡や三鷹キャンパスをVRで見ることができます。スマートフォンへのアプリのダウンロードが必要になります(4D2Uの映像以外は有料)。 本文へ戻る

(注3)ピューリッツァー賞は報道などに与えられる米国で最も権威ある賞です。 本文へ戻る

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