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開催報告:国立天文台・理研講演会「宇宙が物語る物質の起源」

梶野氏による講演のようす
梶野氏による講演のようす。客席は熱心な聴衆で埋まった。

2016年6月11日(土曜日)、真夏のような日差しが照りつける暑さの中、一橋大学一橋講堂(東京都千代田区一ツ橋)にて開催された本講演会には、325名の来場がありました。当日は、講演会のようすをYouTubeライブとニコニコ生中継を通じてインターネット配信も行いました。

宇宙の138億年の歴史の中で作り出されてきた元素。私たち人間を構成する元素も宇宙で作られたものです。宇宙の始まり・ビッグバン以降、宇宙ではどのように元素合成が行われてきたのか、理論、観測、実験という3つの視点を通じて考えることが本講演会のテーマです。

冒頭では、本講演会の開催趣旨と3つの講演内容の簡単な紹介を、理化学研究所 仁科加速器研究センター長・延輿秀人(えんよひでと)氏にお話しいただきました。最初の講演では、国立天文台 理論研究部の梶野敏貴(かじのとしたか)准教授が「物質と時間・空間の根源に迫る宇宙研究」と題して、宇宙を形作る物質の起源と宇宙の誕生・進化との結びつきを、かみ砕いてお話ししました。2つ目の講演「宇宙の観測が解き明かす元素合成」では、国立天文台 光赤外研究部・TMT推進室の青木和光(あおきわこう)准教授が、宇宙で新たな元素を作り出している天体の爆発現象や宇宙初期の元素の記録をとどめる星をどのように観測しているかを紹介しました。最後の講演は「元素合成の鍵を握る不安定原子核」と題し、理化学研究所 仁科加速器研究センターの本林透(もとばやしとおる)特別顧問が、理化学研究所のRIビームファクトリーの紹介と、それを用いて原子核の構造や反応のしくみを実験で調べ、宇宙での元素構成を推理する過程をお話しいただきました。

元素合成という一見して難解なテーマでありながらも、参加者は熱心に耳を傾け、最後に行った講演全体を通じての質疑応答も、時間が足りないくらい多くの質問が会場から寄せられました。多くの方に、現在の宇宙の研究と原子核の研究との繋がりや、宇宙の物質の起源を解明しようとしている研究者の熱意が伝わったことでしょう。

この講演会のようすは、YouTube NAOJchannelでご覧いただくことができます。

この講演会は、国際シンポジウム「宇宙と元素」(Nuclei in the Cosmos XIV)が6月19日より新潟市で開催されることを記念して開催されました。

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