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暦計算室マスコットキャラクター ほのか&あきら登場

著者近影柴田雄(国立天文台 天文情報センター)

おつかれさまです。暦計算室の柴田雄(しばた・たかし)と申します。

私が進めてまいりました、暦計算室のマスコットキャラクターがオープンになりましたので皆様にお知らせします。後に述べるように二次利用も歓迎しております。制作の背景を、と執筆依頼を受けたものの、私の趣味が発端であったなどとは口が裂けても言えず、何かもっともらしい理由を探したものの見つかりませんでした。

とはいえ、私の趣味はポップカルチャー全般であると同時に、天文学をより広く深く人々にお届けすることでもあり、公認の兼業として、高等学校の科学部の外部指導員や自治体主催の講演会での講演などをさせていただいております。国立天文台内でも「三鷹・星と宇宙の日」で展示のチーフなどを務めさせていただきました。そのような経験から、天文学という分野のファン層自体が、全体的に高齢化しているのでは、という疑問を抱くようになりました。

そこで、自身のもう一つの趣味に合わせて、ポップな雰囲気を業界に引き入れることを目的として、両キャラクターのデザインを、漫画家の松浦はこ先生 に依頼させていただいた次第です。

松浦先生は生粋の暦好きでありまして、天体力学分野から暦計算に携わるようになった私に、暦の文化的側面をご教示くださいました。そのようなご縁から、キャラクターデザインを依頼する方向性になったのですが、当方の希望を極めて多量に反映していただき、たいへん質の高いキャラクターへ昇華させていただいたと感謝しております。

さて、肝心のマスコットキャラクターの「ほのか」と「あきら」についてですが、いろいろと設定がございますので、こちらにて説明させていただきます。

まず歴史的な背景として、日本が大化の改新を経て律令国家になったころ、中務(なかつかさ)省に陰陽(おんよう)寮が設置され、そこで暦や時刻に関する業務を行うこととなりました。陰陽寮には皆さんご存じの陰陽師のほかに、陰陽博士、暦博士(こよみのはかせ)、天文博士、漏刻(時刻)博士などが置かれたそうです。

時は下り江戸時代に『天地明察』(冲方丁著)で有名な渋川春海が、日本初の国産暦『貞享(じょうきょう)暦』を作り上げ、以後は幕府天文方を中心として暦の業務が行われることとなりました。

明治になり幕府天文方がなくなると、暦の編纂(へんさん)を引き継ぐ部署が必要となり、紆余曲折あった末に、当時の東京天文台にて行われることとなりました。これは逆に、東京天文台、のちの国立天文台の設立目的にもなっています。

さて、ここまでお読みいただいた皆様には明白かと思いますが、陰陽寮から天文方を経て、暦の業務は脈々と国立天文台の暦計算室へと継承されてまいりました。

このような背景から、両キャラクターは陰陽寮の意匠を基本としてデザインしております。

狩衣(かりぎぬ)を着てカジュアルさを出しつつ、しっぽの渾天儀(こんてんぎ)や、太陽と月(太陰)を意味する髪飾りで暦要素が現れています。ほのかは巻暦(まきごよみ)を手にしているようですね。

陰陽思想においては、男性は「陽」、女性は「陰」を象徴しており、相反する性質を持ちながらも互いに補完し合い、調和することで全てのものが生み出されると考えられています。このため、男女のペアでデザインしていただき、胸には太極図のアクセサリーを着けています。ただ、時代によっては図中の目が無かったようで、デザインではどちらを採用するか迷ったところでもあります。

前面には渋川春海の「天文分野之図」が施されており、幕府天文方の存在もにおわせる狙いがあります。

ほのかは陰陽寮時代の式神という設定になっており、安倍晴明から着想を得て狐のキャラクターとしました。なので、かなり高齢です。あきらは狸ですが、国立天文台三鷹には野生の狸が生息しており、そこから着想を得ています。けっして、うどんとそばの組み合わせではありません。

細かい設定は三面図を見ていただくとして、デザインのコンセプトは陰陽寮と幕府天文方、そして国立天文台へと続く「暦」業務の歴史となっております。暦計算室のキャラクターとして、今後皆様に愛されることを祈念し、両キャラクターの紹介とさせていただきます。

キャラクターの三面図は国立天文台ウェブサイトのギャラリーにございますので、ご活用ください。二次創作は常に歓迎しております。ご利用に際しましては、国立天文台著作物利用規定をご確認ください。商用利用等、事前の許諾が必要なご利用の場合は、著作物利用申請をお願いします。

積極的な二次創作をお待ちしております。

ほのかは、国立天文台が全面協力した『角川まんが科学シリーズ 星と宇宙の科学―地球の危機を回避せよ!』(KADOKAWA)でも活躍していますので、ぜひご覧ください!

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