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2025年5月の星空情報

著者近影三上真世、伊藤博則(国立天文台 天文情報センター)

2025年5月の星空情報です。

冬の星座が西へと移り、5月の夜空は春の星座が主役となります。北斗七星から続く「春の大曲線」や、「春の大三角」が星座探しの目印になるでしょう。

6日にみずがめ座η(エータ、またはイータと読む)流星群が極大を迎えます。6日と7日の午前3時前後が見ごろです。街明かりのない空が暗い場所では、1時間に5個から10個程度の流星が見られることを期待できそうです。

7日の午前1時頃に土星の環が見かけ上「消失」する現象が起こります。しかし、その時刻には土星はまだ地平線の下にあり、消失の瞬間を観察することはできません。その後、土星が昇ってきてから空が明るくなるまでの短い間には、環の消失直後の土星を観察できるでしょう。土星の環の消失は、およそ15年に一度起こる珍しい現象です。

夜明け前の東の空には金星と土星が輝いています。23日には細い月が土星に、24日にはさらに細くなった月が金星に接近して見えます。

5月の月の暦

4日:上弦 13日:満月 20日:下弦 27日:新月

映像制作スタッフおススメ現象ピックアップ「土星の環の消失」

土星の環が消える現象が起こります。消える、と言っても、実際に環がなくなるわけではありません。土星の環が太陽に対して真横を向く現象で、地球からは太陽の光を反射していない状態の環を見ることになる。——それだけのことです。

けれど、その“だけ”の出来事に、私たちはなぜかひかれてしまいます。

残念ながらその時間帯は、日本では土星は地平線の下にあります。空を見上げても、何も見えません。「見えないんです」と言うと、それで終わってしまいそうだったので、どうにかならないかと思って、映像を作ってみました。

土星の位置を示す2枚のイラストと、回転しながら午前1時を指す時計。土星の環の傾きと、時計の動きをゆるやかに重ねるように演出しました。誰にも気づかれないかもしれませんね。

5月7日午前1時、空を見上げても、そこに土星はありません。それでも「心の目」で見てみてください。見えないはずのものに、思いを向ける時間は、案外、大切なことのような気がするのです。

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