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2022年10月の星空情報
2022年10月の星空情報です。太陽系から天の川銀河の外側まで、奥行きのある夜空を楽しみましょう。
日が暮れて暗くなっていく空で、ひときわ明るく輝き始める木星がまず目を引きます。土星も穏やかな明るさで見えています。深夜の空では、高く昇ってきた火星が、輝きを増しています。
肉眼で見える惑星の中で、見られるチャンスが少ない水星。太陽から大きく離れる「西方最大離角」の頃は、地平線からの高度が高く見やすくなります。9日前後、日の出前の東の空で探してみましょう。
夜の早い時間帯、秋の夜空を高く横切って見える「天の川」。私たちが暮らす銀河の姿です。空がとても澄んだ暗い夜には、天の川銀河の外にある銀河も、肉眼でかすかに見えることがあります。天の川銀河と同じグループ(局部銀河群)に属する渦巻(うずまき)銀河です。
10月の月の暦
3日:上弦 10日:満月 18日:下弦 25日:新月
ワンポイント・アドバイス(秋の夜空の奥行きに思いをはせる)
10月に入り、本格的に秋が深まっていきますが、夜の早い時間帯にはまだ夏の大三角が空高く見えます。それを貫いて、天の川が秋の夜空を横断しています。
天の川の実体は、重なり合って分布した無数の星の集合である――ガリレイが初めて望遠鏡で観察した通り、天の川は私たちが住んでいる銀河の姿です。20世紀の初頭は、この天の川の広がりこそが宇宙全体であると考えられていました。
距離が最初に測定され、天の川の外にあることが確認された“銀河”こそ、秋の空に見えるM31(アンドロメダ銀河)です。肉眼で見ることのできる最も遠い天体と言えるでしょう。M31は、天の川銀河と重力的に結びついた銀河のグループ「局部銀河群」のメンバーです。近くのさんかく座には、同じ銀河群のメンバーM33があり、こちらも肉眼で見える明るさとされています。
よく晴れて空が澄んだ日、街明かりも月明りもない、天の川が見える夜には、遠い銀河のかすかな光に気づくかどうか、目を凝らしてみてはどうでしょうか。
関連リンク
- ほしぞら情報(2022年10月)
- すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ HSC がとらえたM31(アンドロメダ銀河)
- Hubble, E. P. Astrophysical Journal, 69, 103-158 (1929) (エドウィン・ハッブルがケフェイド変光星の観測からM31までの距離を測定した論文、英語)|The SAO/NASA Astrophysics Data System
文:内藤誠一郎(国立天文台 天文情報センター)