国立天文台 メールニュース

No.253(2025年4月30日発行)日本天文遺産に2件が認定されました ほか

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 国立天文台 メールニュース No.253 (2025年4月30日発行)
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国立天文台の研究成果やイベント、注目したい天文現象などをメールでお届けする不定期発行のニュースです。どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

◇もくじ-------------------
・話題:日本天文遺産に2件が認定されました
・話題:科学技術分野の文部科学大臣表彰を国立天文台の研究者が受賞
・お知らせ:「ふれあい天文学」今年度の実施校を募集中
・お知らせ:画像集『すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る』刊行
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▼話題
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■日本天文遺産に2件が認定されました

 国立天文台所轄の建造物等2件が、第7回(2024年度)「日本天文遺産」に認定されました。野辺山宇宙電波観測所内にある「三鷹200MHz太陽電波望遠鏡」と、水沢VLBI観測所内の「臨時緯度観測所本館(木村榮記念館)」です。
 「三鷹200MHz太陽電波望遠鏡」は日本最初期の太陽電波望遠鏡で、1949年に東京大学東京天文台(現在の三鷹キャンパス)内に完成しました。戦後間もない頃、必要な資材の確保が難しいなかで工夫をこらしながら完成に至りました。長い年月で朽ち果てながらも廃棄処分を免れたこの望遠鏡の部材は、有志の手によって野辺山キャンパスに運び込まれ、2007年8月にみごとに復元されました。この復元された電波望遠鏡の姿は、野辺山キャンパスで見ることができます。
 「臨時緯度観測所本館」は、1900年に現在の水沢キャンパス内に完成しました。臨時緯度観測所は、万国緯度観測事業のために、北緯39度8分の地に設けられた世界6カ所の観測所のうちの一つです。1920年に「緯度観測所」に名を改め、1988年には国立天文台の一観測所となりました。この本館の建物は、初代所長の木村榮(きむらひさし)の名を冠した「木村榮記念館」として、現在は一般の見学者に公開されています。また、国の登録有形文化財にも指定されています。
 
 日本天文遺産は、歴史的に貴重な天文学・暦学関連の遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えその普及と活用を図るために、日本天文学会が認定しているものです。国立天文台所轄の事物としてはこれまでに、三鷹キャンパスの「6mミリ波電波望遠鏡」、水沢キャンパスの「臨時緯度観測所眼視天頂儀及び関連建築物」、三鷹キャンパスの「レプソルド子午儀及びレプソルド子午儀室」が、日本天文遺産として認定されています。

▽日本天文遺産に、200MHz太陽電波望遠鏡と臨時緯度観測所本館が認定
 https://www.nao.ac.jp/news/topics/2025/20250317-astronomical-heritage.html
▽日本天文遺産 認定一覧(日本天文学会)
 https://www.asj.or.jp/jp/activities/designation/heritage/recipients/


■科学技術分野の文部科学大臣表彰を国立天文台の研究者が受賞

 令和7年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰を、国立天文台の研究者が受賞しました。受賞者は次のとおりです。
 ○若手科学者賞
  片岡章雅(かたおかあきまさ)科学研究部 助教
  藤井友香(ふじいゆか)科学研究部 准教授
  菊地翔太(きくちしょうた)RISE月惑星探査プロジェクト 助教
 ○科学技術賞(理解増進部門)
  縣秀彦(あがたひでひこ)天文情報センター 准教授
  平松正顕(ひらまつまさあき)天文情報センター 講師
 
 それぞれの受賞対象となった業績等については、国立天文台ウェブサイトで紹介しています。
 科学技術分野の文部科学大臣表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を表彰する制度です。令和7年度の表彰式は、2025年4月15日に文部科学省(東京都千代田区)にて執り行われました。

▽科学技術分野の文部科学大臣表彰を国立天文台の研究者が受賞
 https://www.nao.ac.jp/news/topics/2025/20250415-award.html
▽令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定等について(文部科学省)
 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01503.html


▼お知らせ
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■「ふれあい天文学」今年度の実施校を募集中

 国立天文台の研究者が国内外の小中学校で天文・宇宙をテーマにした授業を行う「ふれあい天文学」を、2025年度も実施します。2010年度から開催している「ふれあい天文学」は、例年40名を超える天文学者等が、星や宇宙の話題を全国の教室に届けている大人気の事業です。
 現在、2025年度の実施校を募集中です。募集の締め切りは2025年5月31日です。応募方法や内容についての詳細はウェブサイトをご覧ください。
 この事業は、「国立天文台基金」によって実施されています。天文学の魅力を後世に伝える取り組みを継続していくため、皆様のご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

▽出張授業「ふれあい天文学」2025年度の実施校を募集中
 https://www.nao.ac.jp/news/topics/2025/20250403-fureai.html
▽国立天文台基金
 https://www.nao.ac.jp/support/


■画像集『すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る』刊行

 2024年、すばる望遠鏡はファーストライトから25周年を迎えました。この25周年を記念して、国立天文台ハワイ観測所の研究者と広報チームが企画した画像集『すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る』(国立天文台ハワイ観測所 編著)が、3月28日に刊行されました。
 超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」(HSC)で撮影された天体画像を中心に、歴代の観測装置で捉えられた美しい天体画像の数々が収められたたいへんボリュームある冊子となっています。ぜひ手に取ってじっくり眺めていただきたい一冊です。
 この画像集に収めた天体画像の一部は、すばる望遠鏡ウェブサイトのギャラリーでも公開されています。
 
▽すばる望遠鏡25周年記念画像集が発売されます(すばる望遠鏡)
 https://subarutelescope.org/jp/news/topics/2025/03/06/3523.html
▽画像集『すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る』(株式会社クレヴィス)
 https://crevis.co.jp/publishing/the_subaru_telescope/


◇編集後記-----------------
桜前線が日本列島をどんどん北上して、今は水沢が散り始めの頃でしょうか。今回は、水沢の臨時緯度観測所本館、野辺山で復元された太陽電波望遠鏡が、日本天文遺産に認定された話題をお届けしました。先日封切られたアニメ映画の舞台となった野辺山宇宙電波観測所が、いま注目を浴びています!聖地巡礼の折りには、ぜひ日本天文遺産にもご注目を。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2025年4月30日
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