国立天文台 メールニュース
No.248(2023年12月11日発行)12月中旬、ふたご座流星群が活発に ほか
__________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.248 (2023年12月11日発行) __________________________________________________________ 国立天文台の研究成果やイベント、注目したい天文現象などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ◇もくじ------------------- ・研究成果:GALAXY CRUISE、最初の科学論文がまとまる ・お知らせ:理科年表 2024 刊行 ・天文現象:12月中旬、ふたご座流星群が活発に -------------------------◇ ▼研究成果 ____________________________ ■GALAXY CRUISE、最初の科学論文がまとまる すばる望遠鏡に搭載した超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)」の高い感度と解像度で捉えられた無数の銀河。広大な宇宙の探索を船旅になぞらえ、この観測画像の中から合体中の銀河を見つけてその形を分類する市民天文学プロジェクト「GALAXY CRUISE(ギャラクシークルーズ)」は、2019年11月の出航から2年半の第1シーズンのあいだに、約1万人の「市民天文学者」の協力を得て、200万件を超える分類を成し遂げました。 この分類結果をもとに進めた研究から、衝突・合体中の銀河では、星形成および銀河の中心にある超大質量ブラックホールの活動が、高まっていることが明らかになりました。この結果がまとめられ、科学論文として出版されました。 GALAXY CRUISEの分類結果は、世界中の天文学者が利用できるように公開されています。この結果を利用して、さらに銀河進化の研究が進むことが期待されます。 現在GALAXY CRUISEは、第2シーズン「Deep Quest(ディープクエスト)」の運航中です。銀河の進化をより深く探るための新たな航海へ、皆様のご乗船をお待ちしています。 (2023年10月10日発表) ▽天文学者と市民天文学者が銀河の謎に迫る! https://subarutelescope.org/jp/results/2023/10/09/3307.html ▽GALAXY CRUISE https://galaxycruise.mtk.nao.ac.jp/ ▼お知らせ ____________________________ ■理科年表 2024 刊行 『理科年表』(国立天文台編)は、暦、天文、気象、物理/化学、地学、生物、環境の7部門からなる科学全般を網羅したデータブックです。その2024年版が刊行されました。 暦部トピックスでは、日本の暦法史と、国の重要文化財に指定された『星学手簡』を取り上げています。 天文部トピックスでは、かつてない鮮明な画像で天文学の常識を書き換え続ける「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」と、明るさや位置といった天体の時間変化を調べてその仕組みや性質を探求する「時間領域天文学と可視光高速観測」について解説しています。 気象部や物理/化学部でも、最新の観測や知見に基づきデータを追加・更新しました。地学部では、測量技術の進歩によって日本の島の数がこれまでの2倍以上に増えたことを反映しています。生物部では最新技術で解き明かされつつある「海溝に広がる超深海の世界」について、環境部では「近年のわが国の異常気象と地球温暖化の影響」について、それぞれトピックスで取り上げています。 理科年表は多数の研究機関の協力の下に国立天文台が編さんする、日本で最も信頼されている「自然界の辞典」です。大正14(1925)年に創刊されましたが、第2次世界大戦中に休刊していた時期があり、今号が第97冊となります。創刊号から最新号までのデータを集録した『理科年表プレミアム 個人版』もぜひご利用ください。 また、環境データに特化した『環境年表 2023-2024』(国立天文台編)も刊行されました。2021年ノーベル物理学賞に輝いた「眞鍋淑郎氏による気候研究とその将来」や、日常生活に深刻な影響をもたらしかねない「宇宙デブリ問題の現状」など、多数のトピックスを取りそろえています。 理科年表オフィシャルサイトでは、これまでのトピックスやその後日談を紹介する「りかトピ」や理科年表紙面を補う「プラスα(アルファ)」のほか、「理科年表の楽しみ方」などを掲載しています。環境年表を授業に活用するためのワークシートなども公開していますので、ぜひご活用ください。 ▽理科年表オフィシャルサイト https://official.rikanenpyo.jp/ ▼天文現象 ____________________________ ■12月中旬、ふたご座流星群が活発に 毎年12月中旬には、三大流星群の一つである「ふたご座流星群」が活発に活動し、ふだんよりも多くの流星が見られます。 今年は12月15日午前4時頃に、ふたご座流星群の活動が極大を迎えると予想されています。流星群の放射点があるふたご座が昇ってくる夜9時ころから流星が見え始め、放射点が空高く昇る12月14日の深夜から15日の明け方にかけてが、最も多くの流星が見られそうです。12月13日が新月であることから、月明かりもなくこの数年では絶好の観察条件と言えるでしょう。 今年のふたご座流星群については、国立天文台ウェブサイトの「ほしぞら情報」を、流星群についての詳しい解説は、基礎知識の「流星群」をご覧ください。 ハワイ島マウナケアのすばる望遠鏡山頂施設に設置された星空ライブカメラ(注)では、ハワイ時間の12月13日から14日にかけて、ふたご座流星群の極大時期に合わせたスペシャルライブ配信を専用のアドレスで行う予定です。合わせてお楽しみください。 注:国立天文台と朝日新聞社が設置・運用し、ハワイ島マウナケア山頂付近の空を24時間365日ライブ配信しているカメラ。 ▽ふたご座流星群が極大(2023年12月) https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/12-topics02.html ▽[SPECIAL] Geminid meteor shower 2023/12/13-14 LIVE from Subaru Telescope MaunaKea, Hawaii https://youtube.com/live/P7OUL-Unx64?feature=share ▽星空ライブカメラ(YouTube 朝日新聞宇宙部) https://youtu.be/CKSv05ajKL0 ◇編集後記----------------- 三鷹キャンパスではイチョウの黄葉が終わりの時期を迎え、風が吹くたびに黄色に染まった葉が青空に舞っています。毎年12月に私たちを楽しませてくれるふたご座流星群が、今年はよい条件で見られそうです。どうぞ暖かくして流れ星を楽しんでください。 -------------------------◇ 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 __________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2023年12月11日 __________________________________________________________