国立天文台 メールニュース

No.244(2023年4月17日発行) すばる望遠鏡、新たな手法で太陽系外惑星を発見 ほか

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 国立天文台 メールニュース No.244 (2023年4月17日発行)
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国立天文台の研究成果やイベント、注目したい天文現象などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

◇もくじ-------------------
・研究成果:すばる望遠鏡、新たな手法で太陽系外惑星を発見
・天文現象:日本の一部の地域で部分日食が見られます(4月20日)
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▼研究成果
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■すばる望遠鏡、新たな手法で太陽系外惑星を発見

 これまでにいくつもの太陽系外惑星(以下、系外惑星)の直接撮影に成功してきたすばる望遠鏡が、新たな手法で系外惑星を発見しました。今回、直接撮影で発見したのは、はくちょう座方向にある恒星「HIP 99770」の周りをめぐる惑星「HIP 99770 b」で、太陽-地球間のおよそ17倍にあたる距離を公転していること、質量が木星質量のおよそ15倍であることが、推定できました。とくに質量については、通常の直接撮影による推定値よりも格段に精密な値です。
 この成果をもたらしたのは、新たな系外惑星探査の手法です。
 位置天文観測器「Gaia(ガイア)」は、地球の外からの観測によりたいへん精密な恒星の位置データを提供しています。この位置データから恒星の微小なふらつきを得て、系外惑星を持つ恒星の候補を絞り込むことができます。これまでの系外惑星探査は、観測候補となる恒星を選出する良い方法がなく、多数の恒星をやみくもに観測する方法がとられていたため、すばる望遠鏡のような大型望遠鏡をもってしても、直接撮影による系外惑星の発見例はあまり増えなかったのです。
 すばる望遠鏡は、地球大気の揺らぎを極限まで補正できる超補償光学装置SCExAO(スケックスエーオー)と高いコントラストで天体を分光する装置CHARIS(カリス)を搭載することで、明るい恒星とその周りをめぐる暗い惑星を見分けられる高解像度の観測が可能になります。今回の研究では、Gaiaのデータを利用して絞り込んだ天体を、すばる望遠鏡で観測し、新たな系外惑星「HIP 99770 b」の発見に成功したのです。この組み合わせによる新たな手法で発見した、最初の惑星です。

▽すばる望遠鏡、地球大気の揺らぎを極限まで補正して太陽系外惑星を撮像
 https://subarutelescope.org/jp/results/2023/04/13/3255.html


▼天文現象
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■日本の一部の地域で部分日食が見られます(4月20日)

 日本時間の4月20日午後、月が太陽の前を横切り太陽が隠される「日食」が起こります。日本では、南西諸島や、九州地方南部、四国地方南部、近畿地方南部から関東地方南部の一部地域、伊豆諸島、小笠原諸島で、部分日食が見られます。インド洋、オーストラリア、東ティモール、インドネシアのそれぞれ一部や、太平洋地域の一部では皆既日食となります。また、インド洋と太平洋のわずかな地域では金環日食となります。
 今回の日食は、場所によって金環日食だったり、皆既日食だったりと見え方が異なり、「金環皆既日食」と呼ばれる現象に分類されます。
 今回の日食が起こる範囲や、日食が見られる時間帯等、詳しい解説は国立天文台ウェブサイトにてご覧ください。
 また、YouTube国立天文台チャンネルでは、石垣島天文台から部分日食のライブ配信を予定しています(注)。こちらもぜひご覧ください。

 注:ライブ配信は、天候やその他の状況により、予告なく中止・中断する可能性があります。あらかじめご了承ください。

▽ほしぞら情報:日本の一部地域で部分日食(2023年4月)
 https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/04-topics02.html

▽天球上で見る日食、地球上で見る日食(広報ブログ)
 https://www.nao.ac.jp/news/blog/2023/20230413-eclipse.html

▽YouTube国立天文台チャンネル
 https://www.youtube.com/@naojchannel


◇編集後記-----------------
4月20日の日食は、感染症による行動制限もなく、久しぶりに海外に渡る天文ファンも多そうです。次に日本で見られる日食は、2030年6月1日。北海道では金環日食、東京でも7割以上が欠ける部分日食です。少し先になりますが、こちらも楽しみです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2023年4月17日
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