国立天文台 メールニュース
No.129(2014年4月25日発行)田村氏が東レ科学技術賞を受賞、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.129 (2014年4月25日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■田村氏が東レ科学技術賞を受賞 ■板垣さん、やまねこ座方向にある銀河ときりん座方向にある銀河に 超新星を発見 ■西山さんと椛島さん、相次いで新星を発見 ----------------------------------------------------------- ■田村氏が東レ科学技術賞を受賞 このたび、田村元秀 (たむらもとひで) 氏 (東京大学大学院理学系研究科 教授、国立天文台 教授・太陽系外惑星探査プロジェクト室 室長) が、平成25 年度 (第54回) 東レ科学技術賞を受賞しました。対象となった研究業績は、 「太陽系外惑星とその形成現場のすばる望遠鏡による研究」です。 田村氏は、すばる望遠鏡を用いて太陽系外惑星と恒星を取り巻く円盤を直接 観測により探査する国際共同プロジェクト「SEEDS (シーズ、Strategic Explorations of Exoplanets and Disks with Subaru) 」の研究代表者を務め ています。このプロジェクトでは、すばる望遠鏡に取り付ける近赤外線高コン トラストカメラ HiCIAO (ハイチャオ) を新たに開発し、補償光学装置と組み 合わせることで、太陽系外惑星そのものや恒星の周囲にある円盤の直接撮像に 成功し、数々の最新の成果を挙げています。 東レ科学技術賞は、理・工・農・薬・医学の分野で、学術上の業績が顕著な もの、学術上重要な発見をしたもの、波及効果が高い重要な発明をしたもの、 技術上重要な問題を解決し技術の進歩に大きく貢献したものに対して贈られる 賞で、去る3月18日に東京都内で贈呈式が執り行われました。 なお、2011年には、国立天文台教授の家正則 (いえまさのり) 氏が平成22年 度 (第51回) 東レ科学技術賞を受賞しています。 ▽田村元秀教授が第 54 回東レ科学技術賞を受賞 http://subarutelescope.org/Topics/2014/03/24/j_index.html ▽第54回 東レ科学技術賞 の決定について (東レ) http://www.toray.co.jp/tsf/info/inf_001.html ▽国立天文台 メールニュース No.40 (2011年6月3日) 「家教授が東レ科学技術賞を受賞」 http://www.nao.ac.jp/mailnews/data/0040.html ■板垣さん、やまねこ座方向にある銀河ときりん座方向にある銀河に 超新星を発見 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、3月23日 (世界時、 以下同じ) の観測から、やまねこ座方向にある NGC 2832 銀河の中に16.8等の 超新星を発見しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、 3月21日にオーストラリアなどの研究者から成るグループによって発見された 超新星「2014ai」の独立発見であることが認められました。この超新星の板垣 さんによる発見日時、位置は次のとおり。 ・発見日時 2014年3月23.449日 = 3月23日10時47分 (世界時) ・発見位置 赤経 9時 19分 44.17秒 赤緯 +33度 45分 49.6秒 (2000年分点) さらに、板垣さんは、3月24日 (世界時) の観測から、きりん座方向にある UGC 3252 銀河に17.3等の超新星を発見しました。この発見は国際天文学連合 電報中央局に報告され、この超新星は「2014aj」と命名されました。この天体 の発見日時と位置は次のとおり。 ・発見日時 2014年3月24.465日 = 3月24日11時10分 (世界時) ・発見位置 赤経 5時 11分 43.96秒 赤緯 +67度 29分 29.4秒 (2000年分点) 板垣さんによる超新星の発見は、今年に入ってから「2014ai」が3個目、 「2014aj」が4個目で、通算の発見数は94個 (独立発見を含む) となりました。 ▽参照 CBET No. 3838 : SUPERNOVA 2014ai IN NGC 2832 = PSN J09194417+3345496 (2014 Mar 24) CBET No. 3844 : SUPERNOVA 2014aj IN UGC 3252 = PSN J05114396+6729294 (2014 Apr 5) ▽日本人が発見した超新星一覧 http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html ■西山さんと椛島さん、相次いで新星を発見 福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと、佐賀県みやき町の 椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんは、3月8日 (世界時) の観測から、ケフェ ウス座方向に11.7等の新星らしき天体を発見しました。この天体は、後の分光 観測から新星であることが確認され、「ケフェウス座新星2014」と命名されま した。西山さん、椛島さんによるこの天体の発見日時、位置は次のとおりです。 ・発見日時 2014年3月8.792日 = 3月8日19時0分 (世界時) ・発見位置 赤経 20時 54分 23.86秒 赤緯 +60度 17分 7.7秒 (2000年分点) また、お二人は、3月26日 (世界時) の観測から、さそり座方向に10.1等の 新星らしき天体を発見しました。この天体は、後の分光観測から新星であるこ とが確認され、「さそり座新星2014」と命名されました。西山さん、椛島さん によるこの天体の発見日時、位置は次のとおりです。 ・発見日時 2014年3月26.8487日 = 3月26日20時22分 (世界時) ・発見位置 赤経 17時 15分 46.83秒 赤緯 -31度 28分 30.3秒 (2000年分点) さらに、3月31日 (世界時) の観測から、はくちょう座方向に10.9等の新星 らしき天体を発見しました。この天体は、後の分光観測から新星であることが 確認され、「はくちょう座新星2014」と命名されました。西山さん、椛島さん によるこの天体の発見日時、位置は次のとおりです。 ・発見日時 2014年3月31.790日 = 3月31日18時58分 (世界時) ・発見位置 赤経 20時 21分 42.34秒 赤緯 +31度 3分 29.6秒 (2000年分点) ▽参照 CBET No. 3825 : NOVA CEPHEI 2014 = TCP J20542386+6017077 (2014 Mar 10) CBET No. 3841 : NOVA SCORPII 2014 = TCP J17154683-3128303 (2014 Apr 2) CBET No. 3842 : NOVA CYGNI 2014 = PNV J20214234+3103296 (2014 Apr 2) _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2014年4月25日 _____________________________________________________________________