国立天文台 メールニュース
No.127(2014年2月19日発行)原始惑星系円盤で劇的な化学変化―かつて太陽系も経験した? ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.127 (2014年2月19日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■原始惑星系円盤で劇的な化学変化―かつて太陽系も経験した? ■岡山天体物理観測所「特別観望会2014春」のご案内[岡山] ■古山さん、いて座方向に新星を発見 ----------------------------------------------------------- ■原始惑星系円盤で劇的な化学変化―かつて太陽系も経験した? 東京大学の研究者を中心とする日本、台湾、フランスの国際研究チームは、 アルマ望遠鏡を用いて、おうし座方向にある原始星 L 1527 を取り巻く円盤を 観測しました。その結果、円盤の外縁部では、円盤を作る物質の化学組成が劇 的に変化していることを発見しました。 生まれたばかりの原始星を取り巻く円盤は、宇宙空間のガスと塵 (ちり) が 静かに降り積もって形成されます。今回の観測結果から、この降り積もった物 質は、回転する円盤の遠心力のために円盤の外縁部にとどまり、そこで起こる 局所的な加熱のために大きな化学変化を受けていることが分かりました。この 発見は、原始惑星系円盤やそこで作られる惑星の形成過程を理解する上で、と ても大きな意義を持ちます。 今回の発見が、多くの原始星に当てはまる普遍的なものなのか、あるいは天 体によって大きな違いがあるのかは、今後の観測で明らかにされていくことで しょう。それは、私たちの太陽系の形成を考える上で、とても重要な研究にな ります。 ▽プレスリリース解説:生まれつつある原始惑星系円盤で劇的な化学変化: かつて太陽系も経験したか? http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2014/0213post_531.html ▽生まれつつある原始惑星系円盤で劇的な化学変化: かつて太陽系も経験したか? (東京大学大学院理学研究科・理学部) http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2014/05.html ■岡山天体物理観測所「特別観望会2014春」のご案内[岡山] 国立天文台 岡山天体物理観測所は、ふだん共同利用観測に使用している188 センチメートル反射望遠鏡を使った一般向けの「特別観望会」を開催します。 現在、4月5日に開催する「特別観望会2014春」の参加者を募集中です。観望天 体は、木星と月を予定しています。 参加ご希望の方は往復はがきでご応募ください。定員は100名、応募者多数の 場合は抽選となります。応募締め切りは3月14日 (必着) です。 皆様、奮ってご応募ください。 ▽「特別観望会2014春」のご案内 (岡山天体物理観測所) http://www.oao.nao.ac.jp/public/event/sp2014s/ ■古山さん、いて座方向に新星を発見 茨城県利根町の古山茂 (ふるやましげる) さんは、1月26日 (世界時) の観 測から、いて座方向に8.7等の新星らしき天体を発見しました。この天体の 古山さんによる発見日時、位置は次のとおりです。 ・発見日時 2014年1月26.857日 = 1月26日20時34分 (世界時) ・発見位置 赤経 18時 25分 8.60秒 赤緯 -22度 36分 2.4秒 (2000年分点) 発見後に行われた多くの観測の結果、その特徴から新星であることが確定さ れ、「いて座新星2014」と名付けられました。 古山さんは、1975年に鈴木・三枝・森彗星を独立発見、1987年に古山彗星を 発見、2011年に超新星を発見していますが、新星の発見は今回が初めてになり ます。 ▽参照 CBET No. 3802 : NOVA SAGITTARII 2014 = PNV J18250860-2236024 (2014 Feb 9) _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2014年2月19日 _____________________________________________________________________