国立天文台 メールニュース

No.126(2014年2月6日発行)合体銀河中の超巨大ブラックホールの活動性に迫る、ほか

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    国立天文台 メールニュース No.126  (2014年2月6日発行)
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 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報
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もくじ
■合体銀河中の超巨大ブラックホールの活動性に迫る
■天文学者による出張授業「ふれあい天文学」
■第16回 自然科学研究機構シンポジウム
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■合体銀河中の超巨大ブラックホールの活動性に迫る

 現在広く受け入れられている銀河形成理論では、ガスを豊富に持つ銀河同士
が衝突・合体し、大きな銀河に成長したと考えられています。また、このよう
な合体銀河の中心には超巨大ブラックホールが存在することも分かっています。
 銀河同士が衝突すると、大量の塵 (ちり) とガスが銀河の中心に急速に集め
られ星形成活動が活発になり、その部分が明るく輝きます。同時に、合体前の
銀河にそれぞれ存在していた超巨大ブラックホールに周囲の塵やガスが急速に
落ち込み、そこが非常に明るく輝きます (活動銀河核活動)。いずれの現象も、
大量の塵とガスに埋もれた場所で起こっているため可視光線では観測が難しく、
このようすを詳しく調べるためには赤外線での観測が必要です。
 国立天文台の研究チームは、すばる望遠鏡を用いた高解像度の赤外線観測に
より、超巨大ブラックホールに起因する活動銀河核活動を、星形成活動と区別
して精密に捉えることに成功しました。
 研究チームはこのたび、29個の合体銀河を赤外線で観測しました。その結果、
ほぼ全ての銀河で明るく輝く活動銀河核が認められ、少なくとも一つの超巨大
ブラックホールが存在することが分かりました。一方で、合体後の銀河には複
数存在すると考えられてきた超巨大ブラックホールが、実際に複数存在する銀
河の割合は、およそ15パーセント程度にすぎないことも明らかになりました。
これは、合体銀河中において全ての超巨大ブラックホールに激しく物質が落ち
込んでいるわけではなく、その活動性には個性があることを示す結果と考える
ことができます。
 今後は、合体銀河の超巨大ブラックホールの活動性について、観測と理論の
両面からの解明が期待されます。

 ▽すばる望遠鏡、合体銀河中の超巨大ブラックホールの活動性に迫る
  http://subarutelescope.org/Pressrelease/2014/01/27/j_index.html


■天文学者による出張授業「ふれあい天文学」

 国立天文台は、多くの小中学生に天文学に興味や親しみを持っていただくこ
とを目的に、天文学者が全国各地の小学校・中学校に出向いて授業を行う事業
「ふれあい天文学」を2010年度より毎年実施してきました。2013年度は全国47
校で実施し、これまでの4年間でこの事業を通じて出会った児童・生徒の総数
は、2万人以上にのぼります。
 2014年度も引き続き、この「ふれあい天文学」を実施します。現在参加校を
募集中です。対象となる授業の実施期間は2014年6月上旬から2015年2月下旬ま
で、募集数は約70校です。応募の締め切りは2014年3月11日です。応募方法等
の詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
 理科の授業の一環として、校内のイベントの一つとして、あなたの学校に天
文学者を呼んでみませんか。

 なお、この事業は、国立天文台 天文学振興募金に寄せられた多くの皆様から
のご厚意により成り立っています。今後の事業継続のため、皆様のご理解とご
協力をお待ちしております。

 ▽ふれあい天文学
  http://prc.nao.ac.jp/delivery/fureai.html

 ▽天文学振興募金
  http://www.nao.ac.jp/bokin/


■第16回 自然科学研究機構シンポジウム

 第16回 自然科学研究機構シンポジウムを、来る3月8日に開催いたします。
テーマは「天体衝突と生命進化」です。ご参加には事前のお申し込みが必要と
なります。プログラム、各講演タイトル等は自然科学研究機構シンポジウムの
ウェブサイトをご覧ください。
 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 開催概要
 テーマ:天体衝突と生命進化
 日時:2014年3月8日 (土) 10:30-17:00
 会場:名古屋市科学館サイエンスホール
     (愛知県名古屋市中区栄2-17-1 芸術と科学の杜・白川公園内)
 アクセス:http://www.ncsm.city.nagoya.jp/visit/visitors_guide/access.html
      (名古屋市科学館)
 主催:大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 共催:名古屋市科学館
 参加費:無料
 プログラム:自然科学研究機構シンポジウムのウェブサイトをご覧ください
 参加方法:事前の参加お申し込みが必要です
      お申し込み方法は、ウェブサイトをご覧ください
 その他:Ustreamでのライブ配信を予定しています

 ▽第16回 自然科学研究機構シンポジウム (自然科学研究機構)
  http://www.nins.jp/public_information/sympo16.php


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2014年2月6日
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