国立天文台 メールニュース
No.119(2013年11月18日発行)国立天文台の7件の建造物が新たに有形文化財に登録、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.119 (2013年11月18日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■国立天文台の7件の建造物が新たに有形文化財に登録 ■明け方の空の彗星に注目 ■今週の一枚 ----------------------------------------------------------- ■国立天文台の7件の建造物が新たに有形文化財に登録 国立天文台三鷹キャンパスにある7件の建造物が、新たに、11月15日開催の 文化審議会を経て、有形文化財として文部科学大臣に答申されました。これら は、後日行われる官報告示を経て、国の登録有形文化財に確定する予定です。 今回、新たに登録有形文化財として答申が行われた建造物は、次のとおりで す (名称は文化庁資料によるもの)。 1. 国立天文台レプソルド子午儀室 (注1) 2. 国立天文台ゴーチェ子午環室 3. 国立天文台第一子午線標室 (注2) 4. 国立天文台第二子午線標室 (注2) 5. 国立天文台旧図庫及び倉庫 6. 国立天文台門衛所 7. 国立天文台表門 これらは、いずれも大正から昭和初期の近代建築として貴重であると同時に、 日本の近代天文学をリードした施設群として価値あるものです。 三鷹キャンパス内の文化財は、2011年に国の重要文化財に指定された子午儀 (レプソルド子午儀) のほか、国の登録有形文化財として、太陽分光写真儀室 (注3)、大赤道儀室 (注4)、第一赤道儀室があります。今回新たに登録される 7件を加えると、登録有形文化財は10件となります。また、現在「三鷹市星と 森と絵本の家」となっている国立天文台旧1号官舎は、三鷹市の登録文化財と なっています。 注1:別称、子午儀資料館 注2:ゴーチェ子午環室の子午線標室のこと 注3:別称、太陽塔望遠鏡、アインシュタイン塔 注4:別称、天文台歴史館 ▽三鷹キャンパスの建造物7件が登録有形文化財に http://www.nao.ac.jp/news/topics/2013/20131115-cultural-property.html ▽文化庁報道発表資料 登録有形文化財 (建造物) の登録について (2013年11月15日) http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/index.html ▽市内の文化財一覧 (三鷹市) http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/031/031091.html ■明け方の空の彗星に注目 11月29日 (日本時間) に太陽に最接近 (近日点通過) するアイソン彗 (すい) 星 (C/2012 S1 (ISON) ) が注目を集めています (国立天文台 メールニュース No.118 参照) が、明け方の東の空で注目したい彗星がもう一つあります。今 年9月7日 (世界時) に、オーストラリアのテリー・ラブジョイさんによって発 見されたラブジョイ彗星 (C/2013 R1 (Lovejoy) ) です。 ラブジョイ彗星は、11月13日 (世界時) 現在の観測で、全光度 (注) がおよ そ6等級と報告されています。地球との距離が近くなる11月20日頃から12月初 めにかけてさらに明るくなることが期待されています。ラブジョイ彗星が太陽 に最も近づくのは12月23日 (日本時間) ですが、そのときの距離 (近日点距離) はおよそ0.81天文単位で、0.012天文単位まで太陽に近づくアイソン彗星とは 対照的です。 ラブジョイ彗星は、11月下旬はりょうけん座方向にあり、明け方の東の空で 比較的高い位置に見えていますが、12月上旬にはうしかい座からかんむり座方 向へと移動し、東の空での高度を少しずつ下げて行きます。 一方、アイソン彗星は、11月13日 (世界時) の観測ではおよそ7等級、14日 (同) の観測ではおよそ6等級と報告されていて、1日で1等級ほど明るさを増し ています。今後太陽に近づくにつれ、さらに明るくなることが期待されます。 どちらの彗星も、今後の動向に注目しましょう。 国立天文台では、石垣島天文台 むりかぶし望遠鏡、すばる望遠鏡、岡山天体 物理観測所 MITSuME望遠鏡で撮影したアイソン彗星、ラブジョイ彗星の画像を 公開しています。 注:彗星の核、コマ、尾をすべて含めた明るさ ▽参照 CBET No. 3649 : COMET C/2013 R1 (LOVEJOY) (2013 Sep 9) IAUC No. 3710 : COMET C/2013 R1 (LOVEJOY) (2013 Nov 14) CBET No.3711 : COMET C/2012 S1 (ISON) (2013 Nov 14) ▽彗星 (石垣島天文台) http://www.miz.nao.ac.jp/ishigaki/content/comet ▽アイソン彗星・ラブジョイ彗星 (岡山天体物理観測所) http://www.oao.nao.ac.jp/2013/11/13/comets/ ▽すばる望遠鏡が写し出したアイソン彗星とラブジョイ彗星の核周辺 http://www.naoj.org/Topics/2013/11/10/j_index.html ▽超広視野主焦点カメラHSCが捉えたアイソン彗星の長い尾 http://subarutelescope.org/Topics/2013/11/17/j_index.html ■今週の一枚 国立天文台が撮影した天体や宇宙の姿、観測施設、所有する資料などの画像 や映像を、毎週1点ずつウェブサイトでご紹介するシリーズ「今週の一枚」が、 10月よりスタートしました。 11月13日公開の「国立天文台 紹介ビデオ2013」では、国立天文台の観測施設 や研究活動などの概要をご覧いただけます。 今後公開していく画像・映像もあわせてお楽しみください。 ▽今週の一枚 http://www.nao.ac.jp/gallery/ _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2013年11月18日 _____________________________________________________________________