国立天文台 メールニュース
No.96(2013年1月9日発行) アルマ望遠鏡が見つけた「惑星のへその緒」、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.96 (2013年1月9日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 -------------------------------------------------- もくじ ■アルマ望遠鏡が見つけた「惑星のへその緒」 ■「スターアイランド2012」とVERA小笠原観測局の施設公開[小笠原地区] ■坪井さん、おおぐま座方向にある銀河に超新星を発見 -------------------------------------------------- ■アルマ望遠鏡が見つけた「惑星のへその緒」 おおかみ座の方向、約450光年の距離にある年齢数百万年の若い星 HD 142527 は、バナナ状の弧が2つ向かい合ったような変わった形の原始惑星 系円盤を持つことが、すばる望遠鏡による観測で明らかになっています。さら に、バナナ状に広がった外側の円盤に加えて、中心の星の近くにも小さな円盤 があり、この2つの円盤の間には物質が存在しない「すきま」の領域があるこ とも、すばる望遠鏡による観測で明らかになりました (国立天文台 アストロ・ トピッス (219) )。このすきまは、原始惑星系円盤の中で、すでに惑星が作ら れていて、その惑星が軌道に沿って円盤の中の物質を掃き散らしたためにでき たと考えることができます。 チリ大学の研究者をはじめとする国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて この HD 142527 の原始惑星系円盤を観測し、外側の円盤からすきまに流れ込 む2本のガスの流れを発見することに成功しました。 理論研究によると、巨大惑星が形成されるときには、惑星は自身の外側にあ る円盤からガスを取り込んで成長するために、すきまの部分には成長中の惑星 と円盤とを結ぶ「へその緒」のようなガスの流れが存在すると予想されていま す。しかし、実際の観測でこのようなガスの流れが直接見つかったのは、今回 が初めてで、高い解像度を持つアルマ望遠鏡の威力が発揮された結果と言えま す。 ▽アルマ望遠鏡が見つけた「惑星のへその緒」 ―成長中の惑星へ流れ込む大量のガスを発見 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201301046979.html ▽国立天文台 アストロ・トピックス (219) すばる、バナナの形をした原始惑星系円盤を新発見 ~多波長赤外線でみる惑星誕生の現場~ http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000219.html ▽すばる、新しい形の円盤を発見 ~多波長赤外線でみる惑星誕生現場の姿~ http://subarutelescope.org/Pressrelease/2006/06/27/j_index.html ■「スターアイランド2012」とVERA小笠原観測局の施設公開[小笠原地区] 2月10日から11日、東京都小笠原村父島で「スターアイランド2012」を開催し ます。国立天文台VERA小笠原局の20メートルアンテナの見学を中心とした施設 公開のほか、宇宙講演会、4D2Uシアター上映、天体観望会などの催しを予定し ています。内容によって開催日、開催会場が異なりますのでご注意ください。 多くの皆様のご来場をお待ちしています。 日程:2月10日 (日)、11日 (月・祝) 会場:国立天文台VERA小笠原観測局、小笠原ビジターセンター、ほか (東京都小笠原村父島) 内容:2月10日 (日) 19:00-21:00 (会場:小笠原ビジターセンター) 宇宙講演会 2月11日 (月・祝) 10:00-17:00 (会場:VERA小笠原観測局) VERA小笠原観測局20メートルアンテナ公開・駆動体験、研究紹介、 4D2Uシアター、など 2月11日 (月・祝) 19:00-20:30 (会場:お祭り広場) 天体観望会 ▽VERA小笠原観測局 スターアイランド2012 http://www.miz.nao.ac.jp/content/news/event/20121117-215 ▽VERA小笠原観測局 http://www.miz.nao.ac.jp/content/facility/vera-ogasawara-station ■坪井さん、おおぐま座方向にある銀河に超新星を発見 広島県広島市の坪井正紀 (つぼいまさき) さんは、1月4日 (世界時) の観測 から、おおぐま座方向にある PGC 33561 銀河の中に16.5等の超新星を発見し ました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は 「2013C」と命名されました。 ・発見日時 2013年1月4.776日 = 1月4日18時37分 (世界時) ・発見位置 赤経 11時 5分 55.22秒 赤緯 +72度 31分 20.3秒 (2000年分点) 坪井さんによる超新星の発見は昨年10月以来で、これで通算9個目 (独立発 見を含む) の発見となりました。 ▽参照 CBET No. 3375 : SUPERNOVA 2013C IN PGC 33561 = PSN J11055522+7231203 (2013 Jan 7) ▽日本人が発見した超新星一覧 http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2013年1月9日 ウェブ:http://www.nao.ac.jp/mailnews/ _____________________________________________________________________