国立天文台 メールニュース

No.95 (2012年12月27日発行) 初日の出の情報、ほか

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    国立天文台 メールニュース No.95  (2012年12月27日発行)
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 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報
 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。
 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

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もくじ
■初日の出の情報
■巨星に2つの惑星を発見
■板垣さん、みずがめ座方向にある銀河に超新星を発見
■西山さんと椛島さん、しし座方向にある銀河に超新星を発見
■小石川さん、おうし座方向にある銀河に超新星を発見
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■初日の出の情報

 新しい年を迎えるにあたり、初日の出を見に出掛けようと考えている方も多
いのではないでしょうか。
 国立天文台ウェブサイトでは、初日の出の時刻についての情報を提供してい
ます。都道府県庁所在地のほか、富士山頂や犬吠埼といったお問い合わせの多
い場所での初日の出の時刻と方位角の一覧を公開しています。また、暦計算室
の「2013年 初日の出情報」では、市町村名などを使って初日の出の時刻と方
位角が計算できるようになっています。どうぞご利用ください。

 ▽ほしぞら情報 2013年の初日の出情報
  http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2013/0101-sunrise.html

 ▽2013年 初日の出情報 (国立天文台 暦計算室)
  http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/


■巨星に2つの惑星を発見

 東京工業大学、国立天文台などの研究者から成る国際研究チームは、国立天
文台岡山天体物理観測所の188センチメートル反射望遠鏡およびオーストラリア
天文台の3.9メートル反射望遠鏡 (Anglo-Australian Telescope、AAT) を用い
た観測により、巨星の周りを回る2つの惑星を発見することに成功しました。
 研究チームは、2001年から岡山天体物理観測所の望遠鏡を用いて、巨星の周
りの系外惑星探査を進めています。これまで観測した巨星は約300個におよび、
今回2つの惑星が発見された巨星「HD 4732」もその1つです。研究チームは、
この巨星の観測から公転周期が約360日 (約1年) の惑星を発見し、さらに観測
を続けるうちに2つ目の惑星存在の可能性を見いだしました。しかし、くじら
座南部の方向にあり日本では約半年間しか観測できないこの天体については、
惑星の公転半周分の観測しかできず、公転軌道を正確に求めることができませ
ん。この1つ目の惑星の軌道を正確に求め、2つ目の惑星の存在を確実にするこ
とが難しいのです。
 そこで、研究チームはオーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究
者と協力して、より長期間の観測が可能なオーストラリアでの観測を始めまし
た。その結果、2つ目の惑星の存在も確実となり、その公転周期は約2700日で
あることが明らかになりました。
 このような複数の惑星を持つ巨星が見つかった例はまだ少なく、今後も観測
を続けることで、さらなる発見が期待されます。研究チームは、引き続き国際
協力観測を推進し、複数の惑星を持つ巨星を含めた多くの惑星系を発見してい
きたいと話しています。

 ▽巨星に2個の巨大惑星を発見―日豪協力による初成果―
  http://www.oao.nao.ac.jp/public/research/hd4732/


■板垣さん、みずがめ座方向にある銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、12月6日 (世界時) 
の観測から、みずがめ座方向にある MCG -01-57-21 銀河に15.6等の超新星を
発見しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新
星は「2012ho」と命名されました。

 ・発見日時 2012年12月6.383日 = 12月6日9時12分 (世界時)
 ・発見位置 赤経 22時 40分 17.02秒
       赤緯 -2度 25分 34.1秒 (2000年分点)

 板垣さんによる超新星の発見は、今年5個目、通算で80個目 (独立発見を含
む) となりました。

 ▽参照
  CBET No. 3338 : SUPERNOVA 2012ho IN MCG -01-57-21 = PSN J22401702-0225341
    (2012 Dec 12)

 ▽日本人が発見した超新星一覧
  http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html


■西山さんと椛島さん、しし座方向にある銀河に超新星を発見

 福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと、佐賀県みやき町の
椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんは、12月18日 (世界時) の観測から、しし
座方向にある NGC 3447 銀河に18.6等の超新星を発見しました。この発見は、
国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2012ht」と命名されま
した。

 ・発見日時 2012年12月18.772日 = 12月18日18時32分 (世界時)
 ・発見位置 赤経 10時 53分 22.75秒
       赤緯 +16度 46分 34.9秒 (2000年分点)

 西山さんと椛島さんは新星発見者として知られていますが、超新星の発見は
2009年11月に発見した「2009ls」以来2個目となります。

 ▽参照
  CBET No. 3349 : SUPERNOVA 2012ht IN NGC 3447 = PSN J10532275+1646349
    (2012 Dec 22)

 ▽日本人が発見した超新星一覧
  http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html


■小石川さん、おうし座方向にある銀河に超新星を発見

 宮城県仙台市にある仙台市天文台の小石川正弘 (こいしかわまさひろ) さん
は、12月20日 (世界時) の観測から、おうし座方向にある PGC/LEDA 213292 
銀河の近くに17.2等の超新星を発見しました。発見は、同天文台にある口径
1.3メートルのひとみ望遠鏡を使用した観測によるものです。この発見は、国
際天文学連合電報中央局に報告され、超新星は「2012id」と命名されました。

 ・発見日時 2012年12月20.612日 = 12月20日14時41分 (世界時)
 ・発見位置 赤経 4時 42分 41.14秒
       赤緯 +18度 34分 59.7秒 (2000年分点)

 小石川さんによる超新星発見は、2010年11月に発見した「2010jo」以来2個目
となります。

 ▽参照
  CBET No. 3361 : SUPERNOVA 2012id = PSN J04424114+1834597 (2012 Dec 26)

 ▽日本人が発見した超新星一覧
  http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html


 国立天文台 メールニュースの2012年の発行は今号が最後となります。
 2013年も、引き続きご愛読くださいますよう、よろしくお願いいたします。


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2012年12月27日
ウェブ:http://www.nao.ac.jp/mailnews/
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