国立天文台 メールニュース
No.93 (2012年12月7日発行) 12月14日にふたご座流星群が極大、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.93 (2012年12月7日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 -------------------------------------------------- もくじ ■12月14日にふたご座流星群が極大 ■原始惑星系円盤に見つかった巨大な隙間 ■分光宇宙アルバム -------------------------------------------------- ■12月14日にふたご座流星群が極大 毎年12月13日から14日頃を中心に、三大流星群の一つである「ふたご座流星 群」の出現が活発になります。今年のふたご座流星群の出現の極大は12月14日 の午前中 (昼間) と予想されており、13日から14日にかけての夜に、流星が最も 活発に出現すると期待されています。20時頃から流星が出現し始め、真夜中過 ぎから明け方にかけて多くの流星が出現しそうです。また、極大前後も数日間 にわたって、普段より多くの流星が出現するでしょう。今年は12月13日が新月 のため月明かりに邪魔されることがなく、良い条件で観察ができます。 流星はふたご座の方向だけに集中して出現するわけではありませんので、観 察する方向を気にする必要はありません。空のできるだけ広い範囲に注意を向 けて観察をするのがよいでしょう。また、流星が最も多く出現する極大日時は、 確実には分かりません。予想にとらわれず、なるべく長い時間観察をしてみて ください。 国立天文台では、このふたご座流星群の観察結果を報告していただく「ふた ご座流星群を眺めよう」キャンペーンを、12月12日夜から12月16日朝まで実施 します。キャンペーンページでは、詳しい観察方法なども紹介していますので、 ぜひご覧ください。 ▽「ふたご座流星群を眺めよう」キャンペーン http://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20121212-geminids/ http://naojcamp.nao.ac.jp/i/phenomena/20121212-geminids/ (携帯電話用) ▽ほしぞら情報 三大流星群 http://www.nao.ac.jp/astro/sky/meteor-stream.html ■原始惑星系円盤に見つかった巨大な隙間 国立天文台などの研究者から成る国際研究チームは、すばる望遠鏡に搭載し た惑星・円盤探査カメラHiCIAO (ハイチャオ) を用いて、太陽程度の質量を持 つ若い恒星「PDS 70」の近赤外線観測を行いました。その結果、この星を取り 囲む原始惑星系円盤に存在する巨大な隙間を鮮明に捉えることに成功しました。 太陽程度の軽い質量の星で、これほど大きな原始惑星系円盤の隙間が発見され たのは初めてのことです。 星の周りの惑星は、ガスと塵 (ちり) でできた原始惑星系円盤の中で生まれ ると考えられています。質量が重い星ほど円盤が大きく広がっていて観測しや すいため、すばる望遠鏡でも太陽より重い星についての観測がこれまで多く行 われてきました。しかし、世界最高性能の惑星・円盤探査カメラHiCIAOを用い ることによって、太陽質量程度の星の周りの小さな円盤についても、詳細な観 測が可能になりました。 今回見つかったPDS 70星の周りの原始惑星系円盤の巨大な隙間は、生まれた ばかりの惑星の重力の影響によって作られたと考えられます。ただし、一つの 惑星でこれほど大きな隙間を作るのは難しいため、いくつかの惑星によって作 られた可能性があります。残念ながら、今回は惑星の微弱な光を直接捉えるこ とはできませんでしたが、太陽に似た星の周りに複数の惑星が生まれた可能性 を示す、初めての直接観測となります。今後は、さらに詳細な観測を行うこと で、この隙間を作った惑星そのものを直接捉えることが期待できます。 ▽若い太陽のまわりの惑星誕生現場に見つかった巨大なすきま ~複数の惑星が誕生している現場か?~ http://subarutelescope.org/Pressrelease/2012/11/08/j_index.html ■分光宇宙アルバム 天文学における分光 (スペクトル) 観測は、天体の物理的な特徴や成り立ち、 運動速度等の基礎的な情報を得る手段の一つです。それまで、位置や形状、明 るさ等から天体の性質の解明を試みていたものが、分光観測という手段を用い ることで、人類の宇宙への理解は飛躍的に進んだと言うことができます。 このように重要な観測手段であるにも関わらず、研究成果が報道される際に きれいな天体写真や想像図が紹介されることはあっても、分光観測データが出 てくることはまずありませんし、そもそも分光観測ってなんだか難しそう、と 思っている方は多いことでしょう。 このように、なかなか紹介される機会が少ない天体の分光観測とその成果に ついて、研究者が自らの言葉で解説しているのが「分光宇宙アルバム」です。 国立天文台の機関広報誌「国立天文台ニュース」の誌面で、2010年4月号から 2012年3月号の24回にわたって連載された記事を、ウェブコンテンツとして再 構成しました。現在までに第9回までの記事をウェブサイトで公開しています が、単なる記事の再録にとどまらず、誌面にはなかった解説担当の研究者、企 画担当の編集者の思いも紹介しています。続きの記事は随時公開していく予定 です。 ウェブコンテンツ「分光宇宙アルバム」を今後もぜひご愛読ください。 ▽分光宇宙アルバム http://prc.nao.ac.jp/extra/uos/ja/ ▽国立天文台ニュース http://www.nao.ac.jp/outreach/naoj-news.html _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2012年12月7日 ウェブ:http://www.nao.ac.jp/mailnews/ _____________________________________________________________________