国立天文台 メールニュース

No.87 (2012年9月7日発行) 天の川銀河の中心部に「ぶたのしっぽ」分子雲を発見、ほか

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    国立天文台 メールニュース No.87  (2012年9月7日発行)
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もくじ
■天の川銀河の中心部に「ぶたのしっぽ」分子雲を発見
■国際科学映像祭「ドームフェスタ」
■東京国際科学フェスティバル開催
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■天の川銀河の中心部に「ぶたのしっぽ」分子雲を発見

 慶應義塾大学の研究者を中心とする研究チームは、国立天文台野辺山宇宙電
波観測所の45メートル電波望遠鏡を用いた観測により、天の川銀河 (銀河系) 
の中心部に、特異ならせん状の構造を有する分子雲を発見しました。研究チー
ムは、その形からこの分子雲を「ぶたのしっぽ (Pigtail)」分子雲と名付けま
した。
 天の川銀河の中心は、太陽系から約3万光年の距離にあります。そこでは、巨
大分子雲が銀河中心を周回する二つの軌道群に沿って運動しており、「ぶたの
しっぽ」分子雲の根元は、この二つの軌道が交差する位置にあります。研究チー
ムがこの領域の観測結果を詳細に解析したところ、異なる軌道にあるこれら二
つの巨大分子雲が、まさに「ぶたのしっぽ」分子雲の根元で衝突していること
が明らかになりました。この結果から、二つの巨大分子雲がこすれるように衝
突し、その影響でそこにある磁力線の束がねじれてらせん状になり、ねじれた
磁力線に捉えられた分子ガスが「ぶたのしっぽ」状の分子雲を形作ったと考え
られます。
 磁力線に関連した構造は、太陽表面の現象や活動銀河核から吹き出すジェッ
トに至るまで、多くの種類の天体において見られます。宇宙磁場の研究は、さ
まざまな天体の形成や性質を理解する上で重要な意味を持っています。本研究
成果によって、天の川銀河中心部における宇宙磁場の役割についての重要な知
見が得られたと言えます。

 ▽天の川銀河の中心部で「ぶたのしっぽ」分子雲を発見
  http://www.nao.ac.jp/news/science/2012/20120904-nro-pigtail.html

 ▽天の川銀河の中心部で「ぶたのしっぽ」分子雲を発見 (慶應義塾大学)
  http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2012/kr7a4300000axfhv.html


■国際科学映像祭「ドームフェスタ」

 今年で第3回となる国際科学映像祭 (8月1日から9月30日まで) が全国で開催
中です。
 この国際科学映像祭のメインの催しとなる「ドームフェスタ」が、9月22日
から26日までの5日間にわたり、ソフィア・堺 (堺市教育文化センター) (大阪
府堺市) にて開催されます。このドームフェスタは、さまざまなドーム映像お
よび科学映像作品の上映会、招待講師による講演会など、盛りだくさんの内容
になっています (一部のプログラムは事前申し込み制です)。ぜひご参加くだ
さい。
 9月22日と23日の2日間は「前日祭」と称して、一般市民向けの特別上映会や
特別招待講演など、一日中楽しめるプログラムとなっています。この「前日祭」
の2日間については、事前申し込みは不要です。
 多くの皆様のご来場をお待ちしています。
 詳細は、国際科学映像祭のウェブサイトをご覧ください。

 ▽国際科学映像祭
  http://image.sci-fest.net/

 ▽国立天文台 メールニュース No.83
  第3回国際科学映像祭開催
  http://www.nao.ac.jp/mailnews/data/0083.html


■東京国際科学フェスティバル開催

 今年で第4回を迎える東京国際科学フェスティバル (略称TISF) が、「科学を
文化に」をテーマに、9月8日から10月8日までのおよそ1カ月間にわたり、東京
都内および周辺地域で開催されます。
 この開催期間中は、各所でさまざまな科学のイベントが行われますので、興
味を持ったイベントにぜひ足を運んでください。開催イベントについての詳細
は、東京国際科学フェスティバルのウェブサイト、または東京および近郊の科
学館や図書館にあるパンフレットをご覧ください。

 ▽第4回東京国際科学フェスティバル・TISF2012
  http://tokyo.sci-fest.net/2012/ja/index.php


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2012年9月7日
ウェブ:http://www.nao.ac.jp/mailnews/
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