国立天文台 メールニュース
No.85 (2012年9月3日発行) アルマ望遠鏡、若い星の周りに生命の構成要素を発見、ほか
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国立天文台 メールニュース No.85 (2012年9月3日発行)
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もくじ
■アルマ望遠鏡、若い星の周りに生命の構成要素を発見
■第13回 自然科学研究機構シンポジウム
■広瀬さん、うしかい座方向にある銀河に超新星を発見
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■アルマ望遠鏡、若い星の周りに生命の構成要素を発見
デンマークの研究者を中心とする研究チームは、アルマ望遠鏡を用いた観測
から、太陽に似た若い星の周りに糖類分子が存在することを発見しました。
研究チームが発見した糖類分子は、糖類の中では最も単純な構造を持ってい
るグリコールアルデヒドです。今回グリコールアルデヒドが見つかったのは、
へびつかい座にある IRAS 16293-2422 という原始星で、太陽と同程度の質量の
二つの星から成る連星系です。この連星系の周囲には塵 (ちり) とガスの環が
存在し、この環の中でこれから惑星が作られると考えられています。グリコー
ルアルデヒドはこれまでも宇宙空間で発見されていますが、これから惑星が作
られる若い星の周りで発見されたのは今回が初めてで、このような場所に生命
の構成要素となる物質が発見されたことは注目すべきことです。
アルマ望遠鏡は、16台のパラボラアンテナを用いた初期科学運用を2011年9月
から開始しています。今後の本格運用に向けてアルマ望遠鏡の性能が期待通り
に達成されているかどうかを確認する「科学評価観測」が現在続けられており、
今回の成果はこの観測データに基づいたものです。科学評価観測から今回のよ
うな新発見がもたらされたのは、アルマ望遠鏡の高い性能が発揮された結果で
あり、今後66台のアンテナを使った本格運用への期待が大いに高まります。
▽アルマ望遠鏡、赤ちゃん星のまわりに生命の構成要素を発見
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201208296775.html
▽アルマ望遠鏡、ついに開眼!―初めての科学観測を開始―
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201110036366.html
■第13回 自然科学研究機構シンポジウム
第13回 自然科学研究機構シンポジウムを、来る9月29日に開催いたします。
テーマは、「日本のエネルギーは大丈夫か?~E=mc^2は人類を滅ぼすのか、救
うのか…~」(注) です。
自然科学研究機構だけでなく、他の研究機関も含めた多彩な講師陣による講
演とパネルディスカッションを通じて、日本のエネルギーについて考えます。
開催概要
テーマ:日本のエネルギーは大丈夫か?
~E=mc^2は人類を滅ぼすのか、救うのか…~
日時 :2012年9月29日 (土) 10:00-17:00
会場 :吹上ホール (メインホール) (愛知県名古屋市千種区吹上2-6-3)
主催 :大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
参加費:無料
その他:事前の参加申し込みが必要です
参加申し込み方法、プログラム等についての詳細は、自然科学研究
機構ウェブサイトをご覧ください
注:「E=mc^2」の「^2」は上付き文字の「2」を表す。「cの2乗」の意味。
▽第13回 自然科学研究機構シンポジウム (自然科学研究機構)
http://www.nins.jp/public_information/sympo13.html
■広瀬さん、うしかい座方向にある銀河に超新星を発見
神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治 (ひろせようじ) さんは、8月22日 (世界時) の
観測から、うしかい座方向にある NGC 5611 銀河の中に14.7等の超新星を発見
しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は
「2012ei」と命名されました。
・発見日時 2012年8月22.450日 = 8月22日10時48分 (世界時)
・発見位置 赤経 14時 24分 5.71秒
赤緯 +33度 2分 56.5秒 (2000年分点)
広瀬さんによる超新星発見は、2011年12月以来で、通算では8個目 (独立発見
を含む) の発見となりました。
▽参照
CBET No. 3209 : SUPERNOVA 2012ei IN NGC 5611 = PSN J14240571+3302565
(2012 Aug 24)
▽日本人が発見した超新星一覧
http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html
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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2012年9月3日
ウェブ:http://www.nao.ac.jp/mailnews/
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