国立天文台 メールニュース

No.79 (2012年7月25日発行) 小・中学校を対象とした天文学に親しみを持っていただく授業、ほか

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    国立天文台 メールニュース No.79  (2012年7月25日発行)
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 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報
 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。
 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

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もくじ
■小・中学校を対象とした天文学に親しみを持っていただく授業
■すばる望遠鏡 観測研究体験を実施
■板垣さん、一晩に2つの超新星を発見
■東京大学木曽観測所超広視野CCDカメラによる超新星発見
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■小・中学校を対象とした天文学に親しみを持っていただく授業

 国立天文台は、全国の小学校・中学校を対象に、天文学に興味や親しみを
持っていただくための二つの事業を実施します。現在、これらの事業への参
加校を募集中です。

1. 星・宇宙を身近に感じる特別授業
 東日本大震災の被災地域 (おもに岩手・宮城・福島の3県) の小・中学校など
を対象とした、天文学者による「星・宇宙を身近に感じる特別授業」を実施し
ます。この特別授業では、米国ハワイのすばる望遠鏡、南米チリのアルマ望遠
鏡や、沖縄の石垣島天文台などの国立天文台の観測施設と教室をインターネッ
トを利用した双方向中継で結び、現地の天文学者による臨場感あふれる授業を
展開します。
 対象となる授業の実施期間は2013年3月まで、募集数は約10校です。応募の
締め切りは2012年9月10日です。

2. ふれあい天文学~あなたの教室に天文学者を届けます!
 国立天文台の天文学者が全国各地の小学校・中学校の教室に出向いて行う授
業で、2010年度より毎年実施しています。昨年度は、全国65校で授業を行いま
した。理科の授業の一環として、校内のイベントの一つとして、あなたの学校
に天文学者を呼んでみませんか。
 対象となる授業の実施期間は、2012年10月上旬から2013年3月まで、募集数は
約80校です。応募の締め切りは2012年8月3日です。

 いずれの事業も、募集要項や授業の実施事例などの詳細についてはウェブサ
イトをご覧ください。

 ▽「星・宇宙を身近に感じる特別授業」の実施募集
  http://www.nao.ac.jp/news/notice/2012/20120604-special.html

 ▽ふれあい天文学
  http://prc.nao.ac.jp/delivery/fureai.html


■すばる望遠鏡 観測研究体験を実施

 国立天文台ハワイ観測所は、大学学部生を対象に、すばる望遠鏡を用いた観
測研究を体験していただきます。大学院に進学して天文学研究を行いたいとい
う意欲ある学生は、奮ってご応募ください。
 応募書類には、指導教員などの推薦者名の記載を必要としますので、ご注意
ください。応募者多数の場合は選考を行います。また、ハワイ渡航の前に、国
立天文台三鷹キャンパスで開催する事前セミナーに参加していただきます。
 ハワイでの観測研究体験の実施期間は、2012年10月を予定しています。
 応募締切は8月10日正午 (必着) です。ウェブサイトの募集要項によく目を通
した上でご応募ください。

 ▽すばる望遠鏡・観測研究体験企画のご案内
  http://www.subarutelescope.org/Announce/2012/06/20/j_index.html


■板垣さん、一晩に2つの超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、6月14日 (世界時) 
の観測から、おとめ座方向にある NGC 4772 銀河の中に16.3等の超新星を発見
しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は
「2012cu」と命名されました。

 ・発見日時 2012年6月14.559日 = 6月14日13時25分 (世界時)
 ・発見位置 赤経 12時 53分 29.35秒
       赤緯 +2度 9分 39.0秒 (2000年分点)

 また、板垣さんは、同じく6月14日 (世界時) の観測から、ろくぶんぎ座方向
にある NGC 3166 銀河の中に16.5等の超新星を発見しました。この発見は、国
際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2012cw」と命名されまし
た。

 ・発見日時 2012年6月14.484日 = 6月14日11時37分 (世界時)
 ・発見位置 赤経 10時 13分 47.95秒
       赤緯 +3度 26分 2.6秒 (2000年分点)

 板垣さんによる超新星の発見は、今年3月以来2個目と3個目となり、通算では
78個の発見 (独立発見を含む) となりました。また、一晩で2個の超新星発見は、
板垣さん自身初めてのことです。

 ▽参照
  CBET No. 3146 : SUPERNOVA 2012cu IN NGC 4772 = PSN J12532935+0209390
    (2012 Jun 19)
  CBET No. 3148 : SUPERNOVA 2012cw IN NGC 3166 = PSN J10134795+0326026
    (2012 Jun 19)

 ▽日本人が発見した超新星一覧
  http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html


■東京大学木曽観測所超広視野CCDカメラによる超新星発見

 東京大学大学院 理学系研究科附属 天文学教育研究センターを中心とする、
甲南大学、国立天文台、広島大学などの研究者からなる研究チームは、同セ
ンター木曽観測所 (長野県木曽郡木曽町) が新しく開発した超広視野CCDカメ
ラを用いた観測により、今年5月以降、超新星 2012cm、2012cq、2012ct の3個
の超新星を立て続けに発見しました。
 これらの発見は、2012年4月に開始した大規模な超新星探査プロジェクト 
KISS (Kiso Supernova Survey) による成果です。木曽観測所の105センチメー
トルシュミット望遠鏡に超広視野CCDカメラを取り付けることで、約2度角四
方の広い範囲を一度に観測できます。このカメラで、一晩の間に1時間おきに
空の同じ領域を監視する観測を行うことで、超新星発見を効率よく行います。
 今後は、このKISSプロジェクトによる多くの超新星発見が期待されます。

 ▽木曽KWFC超新星探査プロジェクトKISS プレスリリース
  「木曽シュミット望遠鏡超広視野CCDカメラKWFCでの超新星発見」
  http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/NEWS/pr20120627.html

 ▽参照
  CBET No. 3126 : SUPERNOVA 2012cm (2012 May 27)
  CBET No. 3139 : SUPERNOVA 2012cq IN UGC 4792 (2012 Jun 13)
  CBET No. 3145 : SUPERNOVA 2012ct (2012 Jun 19)


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2012年7月25日
ウェブ:http://www.nao.ac.jp/mailnews/

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