国立天文台 メールニュース
No.66 (2011年12月26日発行) M33銀河の星の材料、全貌の把握に成功、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.66 (2011年12月26日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■M33銀河の星の材料、全貌の把握に成功 ■広瀬さん、おとめ座方向にある銀河に超新星を発見 ■初日の出の情報 ----------------------------------------------------------- ■M33銀河の星の材料、全貌の把握に成功 さんかく座方向にある渦巻銀河 M33 は、私たちの銀河系にたいへん近い渦巻 銀河の一つとして知られています。国立天文台、上越教育大学の研究者を中心と する研究チームは、電波観測により、このM33銀河の星を作る材料となる物質に ついて、広域かつ精密な地図を世界で初めて完成させました。 研究チームは、M33銀河に分布する分子ガスと低温の塵 (ちり) の観測を、 国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡と、南米チリのアタ カマ砂漠にあるアステ望遠鏡を用いて、1000時間以上を費やして行いました。 その結果、分子ガスを過去の観測の約3倍の解像度で、また、塵については初 めて、観測することに成功しました。 今回の観測では、M33銀河全域 (満月の見かけの大きさ2倍以上に相当) の広 範囲にわたり、銀河内の巨大分子雲を一つ一つ見分けることができるほどの精 密さで、分子ガスと塵の分布を明らかにすることができました。私たちの銀河 系以外の銀河で、このように精密でかつ銀河全域での分子ガスと塵の分布地図 を完成させたのは、今回が初めてです。 星が作られる材料になる分子ガスと、この分子ガスを生産する工場の役割と なる低温の塵。これらの分布を精密に示す地図は、銀河の中でどのように分子 ガスが生産され星が作られていくか、星形成の一連のプロセスを解明するため の重要な手掛かりになります。 ▽「隣」の銀河の星の材料、全貌の把握に成功 http://www.nao.ac.jp/releaselist/archive/20111222/ ■広瀬さん、おとめ座方向にある銀河に超新星を発見 神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治 (ひろせようじ) さんは、12月22日 (世界時、 以下同じ) の観測から、おとめ座方向にある NGC 4682 銀河の中に16.7等の 超新星らしき天体を発見しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に 報告され、この超新星は「2011jh」と命名されました。 ・発見日時 2011年12月22.784日 = 12月22日18時49分 (世界時) ・発見位置 赤経 12時 47分 14.42秒 赤緯 -10度 3分 47.3秒 (2000年分点) 広瀬さんは、10月31日にも超新星「2011hk」を発見しており、今年2個目、通 算では7個目 (独立発見を含む) の発見となりました。 ▽参照 CBET No. 2953 : SUPERNOVA 2011jh IN NGC 4682 = PSN J12471442-1003473 (2011 Dec 25) ▽日本人が発見した超新星一覧 http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html ■初日の出の情報 新しい年を迎えるにあたり、初日の出を見に出掛けようと考えている方も多 いのではないでしょうか。 国立天文台ウェブサイトでは、初日の出の時刻についての情報を提供してい ます。都道府県所在地のほか、富士山頂や犬吠埼といったお問い合わせの多い 場所での初日の出の時刻と方位角の一覧を公開しています。また、暦計算室の 「2012年 初日の出情報」では、市町村名などを使って初日の出の時刻と方位角 が計算できるようになっています。どうぞご利用ください。 ▽よくある質問 (国立天文台) 初日の出が日本でいちばん早い場所はどこ? http://www.nao.ac.jp/QA/faq/a0106.html ▽2012年 初日の出情報 (国立天文台 暦計算室) http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/ 国立天文台 メールニュースの2011年の発行は今号が最後となります。 2012年も、引き続きご愛読くださいますようよろしくお願いいたします。 _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2011年12月26日 _____________________________________________________________________