国立天文台 メールニュース
No.55 (2011年9月14日発行) 超巨大ブラックホールからのジェットの源流を突き止める、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.55 (2011年9月14日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■超巨大ブラックホールからのジェットの源流を突き止める ■アルマ望遠鏡:日本製直径7メートルアンテナ1号機の山頂設置完了 ----------------------------------------------------------- ■超巨大ブラックホールからのジェットの源流を突き止める おとめ座方向にある楕円銀河 M87の中心からは高速で噴出するプラズマガス の流れ (ジェット) があることが知られており、その噴出源は銀河の中心に存 在する巨大ブラックホールだと考えられています。また、このM87銀河は、おと め座Aと呼ばれる強い電波源としても知られています。ただ、このジェットの噴 出源に近い場所では、ジェットにより電波が遮られてしまうため、噴出源であ るブラックホールの位置を観測から正確に求めることが困難でした。 総合研究大学院大学、国立天文台、宇宙航空研究開発機構の研究者から成る 研究チームは、米国国立電波天文台のVLBI専用観測網 VLBA (Very Long Baseline Array) を用い多周波相対VLBIという観測手法を駆使して、このM87 銀河の中心に潜むブラックホールの位置をこれまでにない精度で求めることに 成功しました。 今後は、VLBI観測技術を向上させることで、ブラックホールの直接観測の実 現が期待されます。 ▽超巨大ブラックホールは何処に?噴出ガス源流の隠れ家を突き止める http://www2.nao.ac.jp/~m87blackhole/ ■アルマ望遠鏡:日本製直径7メートルアンテナ1号機の山頂設置完了 去る5月2日にアルマ観測所への引き渡しが行われた日本製の直径7メートルア ンテナ1号機が、山麓施設での性能評価を終え、8月25日に標高5000メートルの 山頂施設に運ばれ設置されました。同じく日本製の直径12メートルアンテナ4台 は、すでに山頂に設置され試験観測に使われていますが、今回の7メートルアン テナ1号機はそれに続くものです。 アルマ望遠鏡は、最終的には66台のアンテナで構成されますが、日本が製造 を担当している16台 (直径12メートル4台、7メートル12台) から成るアタカマ・ コンパクト・アレイ (ACA、愛称「いざよい」) の稼働に向けた準備が着々と進 んでいます。 ▽2011年9月13日 アルマ望遠鏡 日本製直径7mアンテナ1号機の山頂設置完了 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2011/0913post_374.html ▽日本の7mアンテナ1号機、アルマ観測所へ引き渡し http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2011/05187m1.html _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2011年9月14日 _____________________________________________________________________