国立天文台 メールニュース

No.53 (2011年9月1日発行) 天の川銀河の中心領域のケフェイド変光星を世界で初めて発見、ほか

_____________________________________________________________________

    国立天文台 メールニュース No.53  (2011年9月1日発行)
_____________________________________________________________________

 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報
 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。
 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

-----------------------------------------------------------
もくじ
■天の川銀河の中心領域のケフェイド変光星を世界で初めて発見
■板垣さん、うさぎ座方向にある銀河に超新星を発見
-----------------------------------------------------------


■天の川銀河の中心領域のケフェイド変光星を世界で初めて発見

 天の川銀河 (銀河系) の中心は、密集した星の大集団、大量の星間ガス、大
質量ブラックホールなどがあり、天文学的にとても興味深い場所です。
 東京大学などの研究者から成る研究チームは、この銀河系中心領域において、
ケフェイド変光星 (注) を世界で初めて発見することに成功しました。1960年
代から、赤外線、電波、X線といったさまざまな波長域での観測が行われてきた
にもかかわらず、この領域ではケフェイド変光星の存在は知られていませんで
した。
 さらに、ケフェイド変光星の変光周期からその星の年齢が推定できることを
利用し、この領域でいつ頃星が作られたかを調べました。その結果、およそ
2500万年前に活発な星生成があったことがわかりました。

 この研究には、東京大学、京都大学、国立天文台、名古屋大学、およびイタ
リアのローマ大学、南アフリカのケープタウン大学の研究者が参加しました。

 注:セファイド変光星とも呼ぶ。変光周期と星固有の明るさの関係 (周期光
   度関係) が知られていて、これによってその星までの距離を正確に求め
   ることができる。また、その星の年齢を推定することもでき、変光周期
   の長いケフェイド変光星ほど若いことが知られている。

 ▽天の川の中心にあるセファイド変光星を世界で初めて発見
   (東京大学 大学院理学系研究科・理学部)
  http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2011/25.html


■板垣さん、うさぎ座方向にある銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、8月27日 (世界時) 
の観測から、うさぎ座方向にある NGC 1954 銀河の中に17.8等の超新星を発見
しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は
「2011fi」と命名されました。

 ・発見日時 2011年8月27.772日 = 8月27日18時32分 (世界時)
 ・発見位置 赤経 5時 32分 52.79秒
       赤緯 -14度 5分 17.0秒 (2000年分点)

 板垣さんによる超新星の発見は、今年に入ってから4個目、通算では70個目 
(独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の
最多記録をさらに更新中です。

 ▽参照
  CBET No. 2800 : SUPERNOVA 2011fi IN NGC 1954 = PSN J05325279-1405170
    (2011 Aug 31)

 ▽日本人が発見した超新星一覧
  http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html


_____________________________________________________________________

発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2011年9月1日

_____________________________________________________________________
    

このページをシェアする