国立天文台 メールニュース
No.25 (2010年12月15日発行) 12月21日は皆既月食、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.25 (2010年12月15日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■12月21日は皆既月食 ■アルマ望遠鏡、テスト画像を公開 ■板垣さん、きりん座方向にある銀河に超新星を発見 ----------------------------------------------------------- ■12月21日は皆既月食 月食は、太陽-地球-月が直線に並び、月が地球の影に入り込むため、満月 の一部または全部が欠けたように見える現象です。12月21日の夜に、地球の影 の中に月が完全に入り込む「皆既月食」が起こります。日本で皆既月食が起こ るのは、2007年8月28日以来およそ3年ぶりのことです。 今回の月食は日本全国で観察することができます。また、早い時間帯に月食 が起こり、多くの方にとっては無理をして夜更かしする必要のない、観察しや すい月食ですので、晴れたらぜひ空を眺めてみてください。 月食の経過は次のとおりです (日本全国同じ時刻)。 月食の始め : 15時32.3分 皆既月食の始め : 16時40.4分 食の最大 : 17時17.0分 皆既月食の終わり : 17時53.6分 月食の終わり : 19時01.7分 全国のほとんどの地域で、月の出になる前に月食が始まっています。東日本 のほとんどの地域では欠けた状態で月が地平線から姿を見せ、西日本では皆既 月食が始まってから月が地平線から上ります。 東に行くほど早い時刻に月の出となりますので、月食を観察できる時間は東 に行くほど長くなります。また皆既月食が始まるときの月の地平線からの高さ も、東に行くほうが高く、条件良く観察できることになります。 国立天文台では、月食当日の夜に、この皆既月食を観察し報告していただく 「皆既月食を観察しよう」キャンペーンを実施します。キャンペーンページで は、観察報告の受け付けの他、月食のメカニズムや経過・観察方法なども紹介 していますので、ぜひご覧ください。 ▽「皆既月食を観察しよう」キャンペーン http://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20101221/ http://naojcamp.nao.ac.jp/i/phenomena/20101221/ (携帯電話用) ▽暦計算室 月食各地予報 http://www.nao.ac.jp/koyomi/koyomix/eclipsex_l.html ■アルマ望遠鏡、テスト画像を公開 南米チリのアタカマ砂漠で建設が進められているアルマ望遠鏡 (アタカマ大 型ミリ波サブミリ波干渉計) は、66台のパラボラアンテナを組み合わせて宇宙 を観測する巨大電波望遠鏡です。現在は、そのうち8台が設置されていますが、 それらを用いた試験観測も着々と進んでいます。複数のアンテナを組み合わせ た干渉計としての性能評価も行われ、その結果、2011年後期に開始予定の初期 科学観測に向けて計画通り順調に進んでいるという評価を得ました。 この試験観測で得られた画像が、アルマ望遠鏡ウェブサイトで公開されてい ます。本格的な稼働に向けて、世界中でアルマ望遠鏡に対する期待がますます 高まっていくことでしょう。 ▽アルマ望遠鏡:テスト画像公開 (国立天文台 アルマ推進室) http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2010/1208post_320.html ▽アルマ望遠鏡 (国立天文台) http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/ ■板垣さん、きりん座方向にある銀河に超新星を発見 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、12月8日 (世界時) の観測から、きりん座方向にある銀河 (2MASX J04034059+7045116) の中に 17.9等の超新星を発見しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報 告され、この超新星は「2010kp」と命名されました。 ・発見日時 2010年12月8.505日 = 12月8日12時07分 (世界時) ・発見位置 赤経 4時 3分 38.85秒 赤緯 +70度 45分 15.7秒 (2000年分点) なお、この超新星は、母銀河の中心から西に8秒角、北に4秒角の位置にあり ます。 板垣さんは、わずか6日前の12月2日にも超新星を発見したばかりです。今年 に入ってから9個目、通算では65個目 (独立発見を含む) の超新星発見となり、 日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。 ▽参照 CBET No. 2577 : SUPERNOVA 2010kp (2010 Dec 10) ▽日本人が発見した超新星一覧 http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2010年12月15日 _____________________________________________________________________