国立天文台 メールニュース
No.15 (2010年10月7日発行) 初期宇宙に大量のモンスター銀河を発見、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.15 (2010年10月7日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■初期宇宙に大量のモンスター銀河を発見 ■明るくなってきたハートレイ彗星 ----------------------------------------------------------- ■初期宇宙に大量のモンスター銀河を発見 国立天文台、東京大学、宇宙航空研究開発機構などから成る国際研究チーム は、アステ望遠鏡 (注) を用いた観測で、爆発的な星形成が起こっている初期 宇宙の銀河を約200個発見しました。さらに、赤外線天文衛星「あかり」を使っ た観測から、発見したこれらの銀河のほとんど全てが80億光年以上かなたにあ り、年間に1000個もの星を続々と作り出している「モンスター銀河」であるこ とがわかりました。 これほどの高い割合で初期宇宙のモンスター銀河を大量に発見したのは、世 界で初めてです。また、高感度の観測により、これまで検出できなかった暗い 銀河を多く観測し、これらの銀河の明るさごとの個数を正確に求めることがで きました。 今後は、より高い感度の観測を行い、初期宇宙のモンスター銀河がどのよう に星を生み出し成長していくのかを解き明かし、宇宙の星形成活動の歴史や銀 河の形成過程、さらにはダークマターの分布の詳細を明らかにしていきます。 この成果は、英国の王立天文学会誌にオンライン掲載される予定です。 注:南米チリのアタカマ砂漠に設置された、波長0.1ミリメートルから1ミリ メートルのサブミリ波と呼ばれる電波を観測する電波望遠鏡 ▽初期宇宙に大量のモンスター銀河を発見 (東京大学) http://www.s.u-tokyo.ac.jp/press/press-2010-39.html ■明るくなってきたハートレイ彗星 ハートレイ彗星 (すいせい) (103P/Hartley) は、約6年半の周期で太陽の周 りを回っている周期彗星です。10月20日から21日にかけて地球に約0.12天文単 位にまで接近した後、10月28日には太陽に最も接近します。このため、10月下 旬から11月上旬にかけて、4等から6等程度まで明るくなることが期待されてい ます。 この明るさですと、空の暗い場所でしたら肉眼でもかすかに見ることができ るかもしれません。空の明るい市街地では、肉眼で見ることは難しいと思われ ますが、双眼鏡や望遠鏡を使えば見付けやすくなりますし、カメラでは撮影す ることができるかもしれません。 彗星は10月5日現在で7等程度と、順調に明るくなっていることが報告されて います。 すでにお知らせしたように、国立天文台では「地球に近づくハートレイ彗星 を捉えよう」キャンペーンを10月14日夜から11月15日朝までの1カ月間実施しま す。このキャンペーンでは、詳しい観察方法なども紹介しています。彗星は星々 の間を日々移動し見やすい時間帯や位置が変化していきますが、このキャンペー ンのウェブページを参考にして、彗星を探し出してみてください。 ▽「地球に近づくハートレイ彗星を捉えよう」キャンペーン http://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20101014/ ▽同キャンペーン携帯電話用ページ http://naojcamp.nao.ac.jp/i/phenomena/20101014/ _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2010年10月7日 _____________________________________________________________________