質問10-3

明るい光を見たのですが、なんだったのでしょう?

明るい光を見たといっても、いろいろな可能性が考えられます。あとでそれがなんだったのかを知るためには、できるだけ詳しく観察しておきましょう。観察しておいたほうがよいのは、「見た日付・時刻(可能ならば「秒」の単位まで)」「どのくらいの間見えていたか(1秒以下、2分ぐらい、など)」「見えた方向(南東の30度の高さから北東の10度の高さに移動した、など)」「明るさ(まわりの星と比べて)」「移動の速さ」です。

しばしば目撃される現象について、いくつかの例を紹介します。

惑星

惑星、中でも金星や木星はたいへん明るく見えることがあり、国立天文台にもよく、「不思議な明るい光を見たがなんだったのか」というご質問をいただきます。特に、金星や木星が地平線近くに見えるときには、人工的な飛行物体ではないかと見間違ってしまうようです。また、西の地平線近くに見える場合、天体は日周運動で地平線に沈んでいきますので、「いつのまにか見えなくなった」とさらに不思議さが増します。

このように、ほとんど動かず、数分・数十分と見え続ける光は、惑星かもしれません。惑星が今の時期どこに見えているのかについては「ほしぞら情報」などで確認できます。

飛行機雲

飛行機雲

日の入り後の西の空に、オレンジ色の光が尾を引いているのを見ることがあります。これは、たいていの場合、短い飛行機雲に夕日の赤い光が当たって見えているものです。飛行機雲が短い時間で消えてしまうような場合、全体の形が葉巻のように見えることもあります。双眼鏡や望遠鏡ではもちろん、肉眼でもよく見ると、進行方向の先端に飛行機を見ることができます。

日の出前の東の空にも、このような飛行機雲が見えることがあります。

なにかが燃えながら落ちていっているようにも見えますが、そうではありません。たいていの場合、数分から10分以上見えています。
「日本火球ネットワーク(Japan Fireball Network)」というアマチュア天文団体のウェブサイトでは、「夕方西の空に見られる飛行現象について」という項目でこの現象を紹介しています。よろしければご覧になってみてください。

人工衛星

日の入り数時間後ぐらいまでと、日の出の数時間前ぐらいからの時刻に、星々の間をゆっくり動く光の点を見ることがあります。これはたいてい人工衛星で、数十秒から、長いときは数分間見えていることもあります。人工衛星は、太陽の光を反射して光って見えますので、太陽の光が上空に届きづらい夜中の時間帯には、人工衛星を見る機会が少なくなります。(人工衛星の見え方などについては、「人工衛星は肉眼でも見えるの?」もご覧ください。)

国際宇宙ステーション(ISS)は、人工衛星の中でも、特別に明るく見えることがあります。国際宇宙ステーションがいつ見えるかの予想情報は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)「宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター」ページの『「きぼう」を見よう』などにありますので、そちらをご覧ください。

また、「イリジウム」という人工衛星は、他の人工衛星とはやや見え方が違っています。10秒程度の間に、少しずつ移動しながら、金星よりも明るくなったあとに再び暗くなっていくような光を見たら、それはイリジウム衛星かもしれません。(見えている時間が短いため、止まったままで光って消えたように見えることもあります。)

サーチライト

快晴ではなく、少し雲があるような天候の時に、雲の上を規則的に光が移動しているように見えることがあります。これは、たいていの場合サーチライトです。地上から空に向かってビーム状の光が放たれ、それがぐるぐると移動していますので、光が当たった部分だけ雲が光って見えます。それがあたかも、雲の上に巨大な光った物体があるように見えてしまうのです。ある時刻になるとサーチライトが消えてしまって、ぱったりと見えなくなってしまったりします。

流れ星

飛行機などよりはるかに速く移動する光は流れ星かもしれません。流れ星については、「私が見たものは流れ星だったのでしょうか?」をご覧ください。

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