月が金星に接近、一部の地域では金星食(2022年5月)

月と金星の共演、九州の一部では昼間に金星食が観察できる!
5月27日、夜明け前の東の低空で明るく輝く金星に細い月が近づき、美しい眺めになります。明るくなるにつれて、金星も細い月も青空にかき消されるかのように見えなくなっていきますが、その日の午後、宮崎県、鹿児島県の一部の地域、および、沖縄県や東京都小笠原村では、月が金星を隠す「金星食」を観察することができます。
地球の周りを公転している月は地球から見ると西から東へと移動し、約1カ月かけて空を一周しています。このとき月は、背後にある天体を次々に隠していきます。月が惑星を隠す現象を惑星食、恒星を隠す現象を星食と呼びます(個別には、隠す天体の名をとって「○○食」と呼びます)。今回の金星食は昼間に起こるため、肉眼で観察することは難しいのですが、双眼鏡や望遠鏡を使って観察することができます。誤って太陽を見てしまわないよう、十分注意して観察してください。各地の金星食の予報時刻は、下の表のとおりです。場所がわずかに変わると予報時刻も変わるため、事前にしっかりと調べておくことが大切です。
場所 | 緯度 | 経度 | 潜入開始 | 潜入終了 | 最小角距離 | 出現開始 | 出現終了 |
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鹿児島 (市役所) | 31.5969° | 130.5572° | 金星食は起こらない | ||||
鹿児島 (県庁) | 31.5603° | 130.5581° | 13時42分14秒 | 金星の一部が月に隠される (最小角距離 13時45分04秒) | 13時47分41秒 | ||
日南 | 31.6019° | 131.3789° | 13時41分33秒 | 金星の一部が月に隠される (最小角距離 13時45分47秒) | 13時49分49秒 | ||
垂水 | 31.4928° | 130.7011° | 13時40分07秒 | 金星の一部が月に隠される (最小角距離 13時45分11秒) | 13時50分02秒 | ||
指宿 | 31.2528° | 130.6331° | 13時36分28秒 | 13時40分18秒 | 13時45分06秒 | 13時49分41秒 | 13時53分27秒 |
那覇 | 26.2122° | 127.6792° | 13時09分02秒 | 13時09分59秒 | 13時40分49秒 | 14時10分02秒 | 14時10分53秒 |
石垣 | 24.3406° | 124.1556° | 12時59分25秒 | 13時00分20秒 | 13時35分28秒 | 14時08分34秒 | 14時09分23秒 |
小笠原 (村役場) | 27.0944° | 142.1919° | 13時25分15秒 | 13時26分04秒 | 13時53分30秒 | 14時19分31秒 | 14時20分16秒 |
- ※最小角距離とは、観察場所から見て見た月の中心と金星の中心との角距離(見かけの距離のこと。角度で表す)が最も小さくなること。
- ※国立天文台暦計算室「惑星食各地予報」を使用。標高は全て0m、鹿児島県庁、小笠原村役場以外は市役所の緯度経度にて計算。

鹿児島県、宮崎県で金星食が観察できる地域は、上の図のとおりです。金星をはじめ、惑星は地球から面積を持って見えるため、金星が月に隠れる時(潜入)、出てくる時(出現)には少し時間がかかります(望遠鏡を使っても地球からは点にしか見えない恒星は、潜入も出現も一瞬です)。また、上の図で2本の線に挟まれた細い帯のような地域では金星は完全には月に隠されず、一部分が隠されただけで金星食が終わります

垂水市と、那覇市での金星食の様子は、上の図の通りです。垂水市では13時40分頃から13時50分頃にかけて、金星の一部が月の縁に隠されます。一方、那覇市では13時09分頃から13時10分頃にかけて金星は月の光っている側から潜入し、14時10分頃から14時11分頃にかけて月の光っていない側から出現します。望遠鏡を使うと、潜入の際に金星が月にじわじわと隠されていく様子や、出現の際に青空の中にじわじわと金星が現れてくる様子(青空の中では月の光っていない部分は見えないため)を観察することができるでしょう。
昼間の金星食の観察には双眼鏡や望遠鏡が必要ですが、誤って太陽を見ることのないよう、十分に注意してください。
自分の住んでいる場所や、観察する場所で金星食が起こるかどうかは、事前に国立天文台暦計算室の「惑星食各地予報」で調べておきましょう。
(参照)暦計算室ウェブサイト:「惑星食各地予報」