木星と土星が見頃(2020年7月)
木星、土星が相次いで「衝」
太陽系最大の惑星である木星が7月14日に「衝(しょう)」となり、観察の好機を迎えます。さらにその1週間後の21日には土星が衝となります。衝とは、太陽系の天体が、地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。衝の頃は、地球と惑星との距離が近くなるため明るく見え、望遠鏡で拡大すると、見かけの直径(視直径)も大きくなっています。しかも、太陽が沈む頃に東の空から昇って、太陽が昇る頃に西の空に沈むので、一晩中見ることができます。
衝の頃、木星は約マイナス3等、土星は約0等で、天の川の左(東)で大きな存在感を放っています。
木星も土星も、望遠鏡での観察をお勧めしたい天体です。
望遠鏡を使うと、木星の表面には何本かの縞模様(しまもよう)が見えます。見るタイミングによっては、「大赤斑(だいせきはん)」と呼ばれる赤っぽい楕円形の模様も見ることができます(上の画像では、表面の模様の細部と、右下に大赤斑が見えます)。また、木星本体から少し離れたところには衛星が見えます。
イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが発見した4つの明るい衛星は「ガリレオ衛星」と呼ばれていて、双眼鏡でも見ることができます。カメラ用の三脚などに固定して手ぶれを防ぐと良いでしょう。双眼鏡の性能などにもよりますが、試してみてください。
土星は美しい環(わ)を持つ惑星です。木星、天王星、海王星にも環がありますが、小望遠鏡で見事な環を見ることができるのは土星だけです。望遠鏡を持っている人はぜひ土星に向けて、他の惑星とはまったく違う、興味深い姿を楽しんでみてください。大きな望遠鏡になると環の構造や本体の縞模様なども見えてきますので、地域の天文台や科学館などが開催する天体観望会に参加するのも良いでしょう。
土星の環は約15年周期で傾きが変わり、その開き方が変化して見えます。2017年頃には環が最も開いていてたいへん見応えがありましたが、今は開き方が年々小さくなっています。そして、2025年には環を真横から見ることになります。立派に見える土星の環ですが、実はたいへん薄いため、真横から見ると環が一時的に見えなくなります。
次に環が大きく開いて見えるのは2033年頃となります。今のうちに、環が大きく開いた土星の姿を存分に楽しんでおきましょう。
(参照)暦計算室ウェブサイト:「今日のほしぞら」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。こよみ用語解説の天象の項では、最大離角、衝、合、留などの惑星現象の用語について解説しています。