太陽系天体に生命を求めて
私たち人間の住む地球以外に、この宇宙に生命は存在するのでしょうか? まずは私たちに身近な太陽系の天体たちから、その可能性を探ってみましょう。
太陽系は、大きさも環境もさまざまに異なる、数多くの天体からなっています。
太陽 太陽系の天体=太陽、8つの惑星、冥王星型天体、衛星、小惑星、彗星など

地球型惑星 主に岩石でできた惑星 木星型惑星 主に水素やヘリウムのガスでできた巨大惑星 太陽系外縁天体 海王星軌道の外側にある氷でできた天体
火星の水の痕跡とエウロパ 21世紀を迎えた現在、宇宙探査技術の発展により、地球外に生命を探す科学的な研究が始まっています。太陽系内の天体には、直接探査機を飛ばして生命の痕跡を探すことができます。探査すべき候補と考えられているのは、地下に液体の水があるかもしれない火星や、表面を覆う氷の下に海が広がっている可能性のあるエウロパ(木星の衛星)など。知的生命体や進化した生物の可能性はほとんどありませんが、いつか地球の微生物のような存在が、これらの天体で発見される日がくるかもしれません。
もうひとつの地球を探して
太陽系の外に広がるはるかな宇宙にも、生命は存在するのでしょうか? 恒星は生命の住む環境とは考えにくいので、太陽系外に生命を探すには、まず「太陽系外惑星」を探す必要があります。その存在が初めて確認されたのは、比較的最近の1995年のこと。以来、天文学者たちは、惑星が恒星のまわりを公転することで恒星がわずかにふらつく運動や、惑星が恒星の前を通り過ぎる際に、恒星が見かけ上少し暗くなる現象などを手がかりに、200個以上の太陽系外惑星を発見しています。

しかし、もうひとつの地球と呼べるような惑星は、まだ見つかっていません。これまでの観測では、木星型の大きな惑星は数多く発見されたものの、地球のように小さな惑星は見つけることができなかったのです。そこで、専用の望遠鏡を備えた人工衛星がいくつか計画され、その中のひとつが2006年に打ち上げられました。宇宙から地球型惑星を探す取り組みが、いよいよ始まろうとしています。

太陽系外の天体はあまりに遠いため、地球型惑星が見つかったとしても、探査機を直接飛ばすことはできません。そこで、惑星の環境や大気組成を地球から観測して、液体の水の存在を調べたり、酸素やオゾン、クロロフィルなど生物が作り出す物質(バイオマーカー)の痕跡を探して、そこが生命を育む環境かどうかを調べる方法が考えられています。今後のさらなる研究によって、地球のような惑星や地球型の生命が、宇宙の中で普遍的な存在かどうかが明らかになっていくことでしょう。
画像:トランジット法
恒星の前を惑星が通り過ぎる現象を利用した、太陽系外惑星探査の方法(トランジット法) 人工衛星COROT
2006年12月に打ち上げられた、トランジット法で地球型の太陽系外惑星を探す人工衛星COROT