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タイトル画像 2008年5月10日〜18日「見てみよう!春の夜空の月・惑星」

土星と火星 | 月の動き | 水星 | デジタルカメラで | 双眼鏡・望遠鏡で | 他の惑星も

「見てみよう!春の夜空の月・惑星」キャンペーン

キャンペーンは終了いたしました。

5月29日に集計結果を掲載いたしました。ご参加ありがとうございました。
 → 集計結果はこちらからご覧ください。


 5月の日の入り後、徐々に暗さを増していく西の空を眺めていると、土星と火星が春の星空を彩っているのに気がつきます。5月10日から13日にかけてはここに月も近づき、火星から土星にかけて日ごとに移動していくのを見ることができます。

 また、普段はなかなか見ることができない水星が14日に東方最大離角となり、やはり夕方の西の空で大変観察しやすくなります。(「東方最大離角」とは、水星が太陽から東に向かって最も大きく離れることを言い、その前後は日の入り後の西空で見やすくなります。)

 そこで、国立天文台では、多くの方に惑星たちと月の動きを観察していただこうと「見てみよう!春の夜空の月・惑星」キャンペーンをおこなうことにしました。5月10日の夜から18日の夜にかけて、土星・火星・水星とその間を動いていく月を、下記のリストからお好きな方法で観察し、どの方法にチャレンジしたかなどを報告してください。チャレンジした感想も是非お書きください。

★このキャンペーンのチャレンジ・リスト

 このキャンペーンでは、月や惑星を観察するときのいろいろな楽しみ方を紹介しています。皆さんはどれにチャレンジしますか?

  1. 土星と火星を見つけよう
  2. 月の動きを観察しよう
  3. 水星を見よう
  4. デジタルカメラで撮影しよう
  5. 双眼鏡・望遠鏡で見てみよう
  6. 他の惑星も見てみよう
国立天文台携帯電話用ページQRコード

 携帯電話用のキャンペーンページへは、 http://www.nao.ac.jp/i/ 、もしくは右のQRコードから、アクセスしてください。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

1.土星と火星を見つけよう

5月中旬の土星・火星・水星と月の位置の図
(画像をクリックすると大きな画像をご覧いただけます)

 日の入り後、太陽が沈んだ方角である西空をご覧になってください。たいへん高い位置に土星が見えています。そこから西の地平線に向かって右下に視線を移すと、火星を見つけることができるでしょう。

 土星も火星もおおよそ1等級と、星座を形作っている星(恒星)と比べて、それほど目立って明るいわけではありませんので、他の星との位置関係を図と見比べながらさがしてみてください。

  土星のすぐ右下には、しし座のレグルスという1等星が、土星よりやや暗く見えています。このレグルスを、土星をさがすときの目印にするとよいでしょう。12日・13日には月が土星に近づきますので、これも土星をさがす目安にできます。

 火星の右側やや下には、ふたご座のポルックスとカストルが左右に並んでいます。火星を見つける目印にしてください。

 毎日のそれぞれの時刻に見える惑星や月・主な恒星の位置は、国立天文台 暦計算室の「今日のほしぞら」でも確認いただけます。代表的な都市での星空の様子を簡単に調べることができますので、ご利用ください。
 → 暦計算室「今日のほしぞら」

体を使って角度を測る

 天体どうしの間隔や天体の地平線からの高さなど、天体に関係する見かけの距離は、普通の長さのように「何センチメートル」という単位では表すことができません。

 そのため、天体に関係する見かけの距離は角度で表します。例えば、「火星と土星の間の距離は30度ある」とか「水星の今の(地平線からの)高さは10度だ」という使い方をします。

 それでは、このような角度を簡単に測る方法はないのでしょうか。
  実は、私たち自身の体を使って、おおよその角度を測ることができるのです。まず、腕を思い切り伸ばしてください。そして、片目で自分の手の先を見ます。このとき・・・

体をものさしに使う方法を説明する画像
(画像をクリックすると大きな画像をご覧いただけます)

となります。この「体のものさし」を空にあてると、おおよその距離(角度)を測ることができます。

 これまで星を見るときに、「土星の右下の少し離れたところに月がある」というように言っていたところを、「土星の右下10度弱のところに月がある」と表現することで、他の人と共通の尺度で話をすることができます。

 5月の星空の図で、高度を表す水平な点線は、上下の間隔が10度です。方位を表す垂直な点線は、地平線での左右の間隔は10度ですが、上にいくほど間隔が狭まります。

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2.月の動きを観察しよう

毎日の動きを観察しよう

 月は、地球のまわりを回る唯一の(人工でない)衛星で、地球に最も近い天体です。そのため、惑星などに比べると見かけの動きがたいへん速く、2日間観察をしただけで、星空の中で大きく位置を変えているのがわかります。
  普段は目立つ星が月の近くにないため、月の動きを実感する機会はあまりないかもしれません。しかし、キャンペーン期間中の5月10日には月が火星に近づき、5月12日・13日にはさらに土星にも近づきますので、月の動きを観察する良いチャンスです。

 月の動きを観察するのは簡単です。毎日なるべく同じ時刻に観察します。土星や火星の位置と見比べて、その日の月の位置を確認してください。そして、日ごとの月の位置を比べると、星空の中を、月が日に日に動いていくのがわかると思います。
 スケッチを取ったり、写真を撮影したりして記録を残しておくと、毎日の位置を比較するのに便利です。

→ スケッチ用紙 (PDF形式、89KB)

惑星も動いている

 月の動きを観察するときには、土星や火星と見比べて月の位置を確認しましたが、実は、土星や火星も星々の間を動いています。

 土星は動きが遅いため、キャンペーン期間中だけで位置の変化に気づくのは難しいのですが、火星は比較的動きが速いため、よく観察すれば、位置の変化に気づくことができます。キャンペーン期間中の火星は、ずっと土星に向かって移動し続けています。このため、10日の夜から18日の夜までの約1週間の間には、土星と火星の間の距離は4度も短くなります。火星の近くにあるふたご座のカストルとポルックスとの位置関係などを観察していると、十分気づくことのできる位置の変化です。

火星に接近する月を観察しよう

 5月10日には、月が火星にたいへん接近します。このとき、月と火星の距離は、時刻が遅くなるほど近くなりますので、その様子も観察してみましょう。

 まず、日が沈んだらなるべく早く、月と火星の位置関係を観察しておきます。それから1時間から2時間後に、もう一度月と火星の位置関係を観察してください。月は1時間のうちに自分の見かけの直径以上の距離を星空の中で移動するため、1〜2時間程度の間をおけば、月が火星に近づいていく様子がわかるはずです。(あまり時間が遅くなると、月も火星も低空に移動して見づらくなってしまいます。早めに観察を始めるのがよいでしょう。)

 双眼鏡を使えば、月の位置の変化をよりはっきりと観察できます。双眼鏡は三脚に固定し、ぶれないようにして観察してください。

→ スケッチ用紙 (PDF形式、89KB)


※ PDF形式のファイルをご覧になるにはADOBE READERが必要です。

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3.水星を見よう

 太陽系の惑星の中でも太陽にいちばん近い軌道をまわっている水星は、太陽から離れる角度が小さいため、水星が見えている時間は、日の入りからわずか1時間程度しかありません。その上、動きが速いために、太陽から大きく離れて見える期間もたいへん短く、見やすい期間は1週間前後です。

 このように、見るチャンスが少ない水星ですが、このキャンペーン期間中の5月14日に東方最大離角となり、たいへん観察しやすい時期を迎えます。(「東方最大離角」とは、水星が太陽から東に向かって最も大きく離れることを言い、その前後は日の入り後の西空で見やすくなります。)日の入り時の高度は最大で約20度に達します。今年は、水星が東方最大離角または西方最大離角となることが6回ありますが、今回の東方最大離角が、今年最も良い条件です(高度がいちばん高くなります)。

 地動説で有名な天文学者であるコペルニクスも生涯水星を見たことがなかったというお話があるほど(注1)、水星はなかなか見ることのできない天体です。この機会に是非、水星を自分の目で見てみましょう。

 水星は、火星のさらに右下の大変低い位置にあります。日の入りから30分後で、地平線からの高さは15度を切ります。建物など邪魔なものがあると隠されてしまいますので、なるべく西空に邪魔なものがない場所で観察しましょう。明るさだけで考えると、水星は約0等級で土星や火星より明るいのですが、地平線に近いうえに空が明るいうちに見なければならないため、土星や火星よりずっと見づらく感じるのではないでしょうか。

 また、火星から水星のあたりには、ふたご座のカストル・ポルックス、こいぬ座のプロキオン、ぎょしゃ座のカペラ、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウスなど、水星に近い明るさの星がたくさんあります。他の星と見まちがえないよう、星の位置関係を見比べながらさがしてみてください。

 双眼鏡を使えば、肉眼だけで見るよりも、もっと水星をさがしやすいはずです。双眼鏡はなるべく三脚などに固定して、水星をさがしてください。肉眼では水星が見えなくても、双眼鏡でなら見ることができるかもしれません。

 なお、水星の観望条件の詳しい解説は、こちらのページをご覧ください。 → 2007年実施の「内惑星ウィーク」キャンペーンの水星の観望条件の解説ページ

注1:コペルニクスが水星を見たことがなかったかどうかは、はっきりと記録に残っているわけではないようです。とはいえ、「あの大天文学者コペルニクスを超えた(かもしれない)」と言うことのできるめったにないチャンスです。

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4.デジタルカメラで撮影しよう

月を撮影する

月の写真
携帯電話のカメラで撮影した月
(画像をクリックすると大きな画像をご覧いただけます)

 デジタルカメラで月を撮影してみましょう。

 月はたいへん明るい天体です。昼間の景色を写すのと同じように、撮影することができるはずです。

 携帯電話のカメラでも、多くの場合撮影することができますので、チャレンジしてみてください。

惑星や恒星を撮影する

 デジタルカメラで惑星や恒星を撮影してみましょう。以下のような設定ができるデジタルカメラでしたら、惑星や明るい恒星を撮影することができるはずです。お持ちのデジタルカメラでチャレンジしてください。また、細かい設定のできないカメラでも、「夜景モード」のように、暗くて遠いものを撮影する設定にすれば、天体を撮影することができる場合があります。(天体が写るかどうかは、実際にやってみなければわかりません。是非実際に試してみてください。)

 シャッタースピードは1秒程度より長く設定しましょう。天体からやってくる光はわずかですので、はっきり写すためには、光を長く蓄積する必要があります。シャッタースピードが長くなると、手持ちではどうしても手ぶれしてしまいますので、三脚を使ってカメラが動かないように固定してください。

 ピント合わせの必要なカメラの場合には、なるべく遠くにピントを合わせます。惑星や月は、地球上のどんな景色よりも遠くにあります。

 絞りの調整ができるカメラでは、絞りをいちばん小さい値にします。絞りの値が小さいほど、暗いものが写りやすくなります。

 感度の調整ができるカメラの場合、感度をなるべく高くしましょう。「ISO」というのが感度を表す値です。値が大きいほど感度が大きくなります。(例えば、ISO100とISO400でしたら、ISO400のほうが4倍の感度があるということになります。)

 空やまわりの人工灯火の状態、それぞれのカメラの性能など、様々な条件によって、カメラをどのように設定すればよいのかは違います。事前にテストをしたり、撮影した写真を見ながら設定を変えるなどして、いろいろと試してみてください。

 また、空がまだ明るいうちは、背景の空の明るさが明るくなりすぎて、昼間のような写真になってしまうことがあります。設定を調整して、星が空の明るさに埋もれてしまわないような設定を探ってみてください。

 携帯電話のカメラで惑星や恒星を撮影するのは、少し難しいかもしれません。しかし、最近の(携帯電話付属の)カメラには、コンパクトなデジタルカメラとあまり変わらない性能を持つものもありますので、天体が写るかどうかは、実際に撮影して試してみてください。

※それぞれのカメラの設定方法などは、カメラに付属する取扱説明書をご覧になるか、カメラメーカーにお尋ねください。

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5.双眼鏡・望遠鏡で見てみよう

 残念ながら、肉眼では土星・火星・水星の形を見分けることはできません。しかし、双眼鏡があれば、土星は米粒のような細長い形に見えるかもしれません。月のクレーターも、双眼鏡で見ることができます。天体を双眼鏡で観察するときには、三脚に固定し、ぶれないようにして観察してください。

 また、望遠鏡を持っている方は、その望遠鏡で土星・火星・水星や月を見てみましょう。

 土星の環は、大きな望遠鏡でなくても見ることができます。現在、土星の環は傾きがかなり小さくなっています。このあと環の傾きは小さくなっていき、2009年には、15年ぶりに土星の環が見えなくなる時期があります。今のうちに土星を見ておき、2009年に環の傾きがさらに小さくなった土星と比べてみましょう。
  なお、国立天文台では、5月12日と13日に土星のインターネット中継をおこないます。(土星の環の傾きの変化についての詳しい解説は、そちらのページをご覧ください。)
  また、4月26日(土)、5月24日(土)には 定例観望会で土星をご覧いただく予定です。

 火星は、2007年12月の最接近の頃に比べると、地球からずいぶん距離が離れてしまいました。地球から火星までの距離は1.7天文単位(1天文単位は地球・太陽間の平均的な距離、約1億5千万キロメートル)より大きくなり、見かけの大きさも、最接近時の3分の1ほどしかありません。望遠鏡では、表面の模様を見るのは難しいと思われますが、赤い円盤状の姿は見ることができるかもしれません。

 水星は、今回のキャンペーン中、半月のような姿を見せているはずです。見かけの大きさが小さい上に、空の低い位置にあるために大気の影響を受けて、像がゆらいでいるかもしれません。大気が安定するのを待って、形を確認してみてください。

 月は、毎日観察していると、日ごとに太っていく様子がわかると思います。キャンペーン期間中にの5月12日には上弦(半月)となります。
  月の表面の様子は小さな望遠鏡でも見ることができます。欠け際は斜めから太陽の光が当たっているため、陰影が強調され、クレーターなどの地形がよく見えます。欠け際の位置は日に日に移動しますので、毎日違った場所の地形が楽しめます。

画像・映像へのリンク

国立天文台で撮影した天体画像
石垣島天文台で撮影した天体画像
火星の動画 (天体中継 火星編)
水星の動画 (「内惑星ウィーク」キャンペーン

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6.他の惑星も見てみよう

「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーン ロゴマークの画像

 2006年8月国際天文学連合(IAU)の総会で、惑星の定義が決議され、冥王星が準惑星という新しいグループに入りました(太陽系の惑星の定義確定)。この新しい惑星の定義によって、家庭向けの小口径望遠鏡でも、天王星・海王星を含めてすべての惑星を観察することが可能になりました。

 国立天文台は、日本望遠鏡工業会と協力して、「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンを5月31日まで開催しています。今回のキャンペーンでご覧いただく惑星は土星・火星・水星ですが、夜半になると木星が東の地平線から昇り、さらに、夜明けまでには海王星・天王星も姿を現します。この機会に是非、全ての惑星の観察に挑戦してください。

 詳細は、「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンのホームページをご覧ください。

 → 「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンへ

※ この時期、金星は太陽に近い方向にあるため、観察が困難です。しかし、これからキャンペーンに参加する方向けの特別ルールを設けました。詳しくは、「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンの「お問い合わせ」ページの中の「4月以降にキャンペーンに参加される方へ」をご覧ください。

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