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ホームズ彗星キャンペーンバナー

ホームズ彗星 | どこに見える? | 必要な機材は? | 見え方 | その他のコツ | 関連リンク

緊急企画!「ホームズ彗星を眺めよう!」キャンペーン


ホームズ彗星の移り変わり(連続画像)
10月25日-11月12日
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 報告受付を終了しました。
 11月13日までに、2,272件のご報告をいただきました。たくさんのご報告ありがとうございました。

最終集計結果ページリンクバナー

 11月28日に最終集計結果を掲載いたしました。観察結果やみなさまのコメントをご紹介しております。こちらのページへどうぞ。

 なお、報告受付は終了しましたが、ホームズ彗星はまだまだ見えております。市街地では肉眼・双眼鏡での観察が少々難しくなりましたが、空の暗いところでは十分明るく観察できます。ぜひ引きつづき、ご観察ください。


 周期彗星であるホームズ彗星 (17P/Holmes) が急激に増光し、日本時間の10月25日未明に約3等の明るさに達し、夜空に肉眼でも確認できるほどになっています。このような急増光は、アウトバーストと呼ばれ、彗星ではときどき観測される現象ですが、今回のように2日足らずの間に約14等(約40万倍)も明るくなって、肉眼で見えるほどに達する大増光は非常に珍しいことです。

 そこで国立天文台では、一生に一度しかないような現象を多くの方にご覧いただこうと、「ホームズ彗星を眺めよう!」緊急キャンペーンをおこなうことにしました。11月2日(金)夜から11月12日(月)明け方まで、ホームズ彗星を観察してぜひご報告ください。

 ホームズ彗星は、アウトバーストによって放出された塵(ちり)が次第に拡散していくために、ゆっくりと減光していくと予想されます。このキャンペーンが始まる11月2日と終わりの11月10日頃では、明るさも見え方も違っているかもしれません。そういったことも意識しながら、キャンペーン期間中、ホームズ彗星を眺めてみてください。


 これまでのキャンペーンと同じように、日本のどこで彗星が見えたかが、集計結果からわかるしくみです。携帯電話からでも参加できますので、今まで彗星を見たことがないという方もこの機会にぜひチャレンジしてみてください。

 また、「見えなかった」という報告も貴重な観察結果です。見えなかった場合もぜひ報告をお願いします。


携帯電話用のキャンペーンページへは、 http://www.nao.ac.jp/i/phenomena/20071102/ からアクセスしてください。モバイル版キャンペーンページQRコード

緊急中継!「ホームズ彗星」

キャンペーン期間中に、「天体中継〜ホームズ彗星編〜」も実施いたします。中継予定は以下の通りです。

動画ライブ中継ページリンクバナー

現在ダイジェスト映像がご覧になれます。こちらのページへどうぞ。

ホームズ彗星(17P/Holmes)

11月上旬0時頃の東京の星空
ホームズ彗星の軌道
(画像をクリックすると拡大します)

 今回話題になっているホームズ彗星(17P/Holmes)は1892年11月にアンドロメダ銀河の定期観測をしていたイギリスのエドウィン・ホームズによって発見されました。約6.9年の周期で太陽を一回りする短周期彗星です。
 その後、1899年と1906年に観測されましたが、それ以後行方不明になっていました。しかし1964年に再観測され、それ以後は毎回帰ごとに観測されています。
 そして今年5月に近日点を通過し、現在は太陽からの距離約2.4天文単位(注1)の位置にあり、太陽から遠ざかりつつあります。地球からの距離は約1.6天文単位です。

(注1)天文単位:太陽から地球までの平均距離を1天文単位として定義している。1天文単位=1億4959万7870キロメートル

一生に一度の大増光!

 10月23日(世界時)には約17等の明るさで観測されていました。しかし日本で夜を迎えた10月24日22時12分(日本時)には、約3.5等で観測されました。その後、日本各地で観測され、25日明け方には、約2等台の明るさに達し、肉眼でも容易に確認できたと報告されています。
 では、なぜこんなに急に増光したのでしょうか。
 彗星の本体「核」は、汚れた雪玉のようなものと考えられており、太陽に近づくと、その熱で暖められ、表面が蒸発します。しかしこのホームズ彗星は、何らかの原因で一時的に通常よりも大量のガスや塵(ちり)が吹き出し、大量に放出された物質が太陽光を反射し、アウトバーストを起こしたと考えられます。
 また、このホームズ彗星は、発見された1892年にも今回と同じようなアウトバーストを起こして4等級まで増光していますので、この彗星にとっては、実に115年ぶりのアウトバーストといえるかもしれません。

尾は見えない?

 今回のホームズ彗星(17P/Holmes)は、尾を見ることが難しいかもしれません。彗星の尾は、太陽とは反対方向に延びます。今は、太陽−地球−ホームズ彗星という位置関係にあります。電車を真正面から見ると、後ろの車両は見えないのと同じです。

この後どうなるの?

ホームズ彗星の写真
10月28〜29日の変化
(画像をクリックすると拡大します)

 一時的に放出されたガスや塵(ちり)がそのまま宇宙空間に広がっていると考えられます。
 最初は、ほとんど恒星と区別が付かないほどでしたが、国立天文台で観測した10月28日から29日までの写真を確認しても、彗星のコマと呼ばれる頭部が次第に広がってきていることが見てとれます。
 これまでの国立天文台の観測では、全体が拡散するスピードは一日あたり約1.3分角程度です。なにしろ人類がこれまで目撃したことがないような規模の現象ですので、今後、この彗星がどのように変化していくかについては、なかなか予想は難しいのですが、この拡散スピードを保つとすれば、そのみかけの大きさは、11月中旬前後には満月大になるでしょう。

ホームズ彗星の写真

 国立天文台天文情報センターが撮影したホームズ彗星の画像

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ホームズ彗星はどこに見える?

11月上旬10日おきのホームズ彗星の位置
ホームズ彗星の位置

(画像をクリックすると拡大します)

 ホームズ彗星は、ペルセウス座にあり、一晩中観測しやすい位置にあります。ペルセウス座が見つけにくい場合は、お隣のカシオペア座や、ぎょしゃ座の一等星カペラなどから探してみましょう。
 夜半前に東の空を見ると「10日おきのホームズ彗星の位置」のような星空が見えますので、参考にしてください。
 また、国立天文台暦計算室の「今日のほしぞら」もご利用ください。代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。
 → 暦計算室「今日のほしぞら」[ホームズ彗星]
11月上旬0時頃の東京の星空
11月上旬21時頃の東京の星空
(画像をクリックすると拡大します)

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必要な器材は?

肉眼で

普通の彗星と違ってアウトバーストを起こしているので、器材をなにも使わずに、肉眼で彗星を見ることができるかもしれません。星座を形作る星(恒星)とは違って、小さな雲のようにぼーっと広がった感じに見えるはずです。

双眼鏡で

肉眼で見えないときでも、双眼鏡を使えば彗星を見ることができるかもしれません。ただ、あまり倍率の高い(15倍以上の)双眼鏡や、口径(レンズの直径)の小さな(3cm以下の)双眼鏡は彗星を見るのに適していません。倍率の高い双眼鏡を使うと、見える範囲が狭いために彗星を視野に入れづらいですし、彗星の見え方も暗くなってしまいます。同様に小さな双眼鏡では、彗星があまり明るく見えません。

また、できるだけ、双眼鏡を三脚などに固定して彗星を見るようにしてください。双眼鏡を手で持っていると、どうしても揺れてしまい、あまりよく見えません。

とはいえ、最初からあきらめてしまうのではなく、お持ちの双眼鏡で是非チャレンジしてみてください。器材の能力が不十分なところを、繰り返し観察して慣れることでカバーできることもあります。

望遠鏡で

口径6cm程度の小望遠鏡でも彗星を見ることができるはずです。

倍率はせいぜい20〜30倍程度と、あまり倍率を高くしないようにしましょう。双眼鏡と同じように、倍率を高くすると、見える範囲が狭いために彗星を視野に入れづらいですし、彗星の見え方も暗くなってしまいます。

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見え方

コマが、小さな雲のようにぼーっと広がった感じに見えるはずです。中央には恒星状の強い集光が見えるかもしれません。

ホームズ彗星の場合、尾はほとんど見えないかもしれません。

その他のコツ

見る場所

日本全国、どこでも見ることができます。(日本以外の国でも見ることができます。)

できるだけ大都市から離れ、近くに街灯など人工の明かりがない場所を選びましょう。

彗星は、大都市や街灯の明かりに比べてとても弱い光しか出していません。人工の明かりの影響があると、それに邪魔されて、彗星がとても見えづらくなります。

見る時刻と時期

日が沈んで暗くなる夜7時には、ホームズ彗星はすでに東の空に見えています。一晩中観察できます。

目を慣らす

明るい場所から暗い場所に出て、10分以上は暗さに目を慣らしましょう。彗星の光はたいへん淡いですので、暗さに十分目を慣らさないと、見るのがなかなか難しいと思われます。双眼鏡や望遠鏡を使う場合でも、やはり目が暗さになれているほうが暗い部分まで見えますので、より楽しめるでしょう。

彗星のように淡い天体の場合、彗星のある位置をまっすぐに見つめるより、目を少しそらし気味にしたほうがよく見えることがあります。視野の中心には、色の判別が得意ですが暗い光の苦手な細胞があり、視野の周辺には、色の判別は苦手ですが暗い光の得意な細胞があるためです。まっすぐに見つめずに注意だけを向けるというのは、慣れないとなかなか難しいのですが、やっているうちに慣れてくると思います。

寒さ対策も

11月になると、夜は冷え込んでくると思います。特に、夜に何十分も屋外でじっとしていると、だんだん体が冷えてきます。普段よりも厚着をしたり、カイロなどを用意しておくのもよいかもしれません。

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関連リンク

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