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三鷹キャンパスの建造物7件が登録有形文化財に
国立天文台三鷹キャンパスにある7件の建造物に対し、2013年11月15日の文化庁の文化審議会にて、有形文化財への登録が文部科学大臣に答申されました。その7件は、1)国立天文台レプソルド子午儀室(子午儀資料館)、2)国立天文台ゴーチェ子午環室、3)国立天文台ゴーチェ子午環第一子午線標室、4)国立天文台ゴーチェ子午環第二子午線標室、5)国立天文台旧図庫及び倉庫(旧図書庫)、6)国立天文台門衛所、7)国立天文台表門です。これらは大正期から昭和初期にかけての近代建築として保存されるべき文化財として貴重なものです。国立天文台三鷹キャンパスには、すでに国立天文台太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡・アインシュタイン塔)、国立天文台大赤道儀室、国立天文台第一赤道儀室の3件の登録有形文化財があります。今回登録される建造物を加えると、三鷹キャンパスの登録有形文化財の件数は10件となります。
国立天文台レプソルド子午儀室
レプソルド子午儀室は、1925年(大正14年)2月28日竣工の鉄筋コンクリート造平屋建てです。東西への開閉式屋根をもっていて、建物は東西に対象になっており、建物外周の上部にはセセッションと言われる装飾が施され美しい外観をもっています。レプソルド子午儀は1950年代末で観測を終了しています。その後、2008年からレプソルド子午儀観測室は国立天文台子午儀資料館として一般に公開されており、レプソルド子午儀は2011年6月に国の重要文化財に指定されました。保存状態もよく、屋根の開閉機構も現存しており、建設時の状態をほぼ残しています。

国立天文台ゴーチェ子午環室
ゴーチェ子午環室は、1924年(大正13年)5月9日竣工、望遠鏡の建物としては極めて特徴的な半円ドームで蒲鉾型をしており、屋根は東西に開閉します。設計は東京帝国大学営繕課。またゴーチェ子午環は、南北100mの地点に真の南北を視準する子午線標室が附属施設として現存しています。
麻布にあった天文台が三鷹に移転する際建設された建物であり、その建設年代、建設の経緯、建物意匠などから見て、三鷹に現存する大正期を代表する観測施設の建物と言えます。

国立天文台ゴーチェ子午環第一子午線標室
第一子午線標室は、1925年(大正14年)2月28日竣工、ゴーチェ子午環望遠鏡の不動点から水平に100m地点の真南の視準点を設置するための建物です。構造は鉄筋コンクリート2階建てであり、子午線標の載っているピアは建物から独立した台になっていて建物2階床を貫いています。温度変化を少なくするために南側には建物を覆う土盛りがあり、現状は深い森に埋もれています。

国立天文台ゴーチェ子午環第二子午線標室
第二子午線標室は、1925年(大正14年)2月28日竣工、ゴーチェ子午環望遠鏡の不動点から水平に100m地点の真北の視準点を設置するための建物です。構造は鉄筋コンクリート2階建てであり、子午線標の載っているピアは建物から独立した台になっていて建物2階床を貫いています。温度変化を少なくするために北側には建物を覆う土盛りがあり、現状は篠竹、灌木でおおわれています。

国立天文台旧図庫及び倉庫
1930年(昭和5年)3月31日竣工、基礎に大谷石の張り石がされている鉄筋コンクリート造2階建て、外壁仕上げは、スクラッチタイル張りで、建設当初の設計原図に、増築予定として記載され、1961年(昭和36年)3月31日に西側に外壁がモルタル塗りの3階建ての建物が増築されています。

国立天文台門衛所
門衛所は、1924年(大正13年)12月22日竣工、国立天文台内に現存する唯一の木造洋風建築です。基礎に大谷石が使用された平屋建て、屋根は切妻造、カラー鉄板葺、外壁は板幅が狭い細かいピッチの洋風下見板張りで、その上にハーフティンバー風に柱型が付けられています。三鷹市内では近代建築は8例(国立天文台天文台施設を除く)、内大正期のものは3例と少なく、貴重な洋風建築のひとつです。

国立天文台表門
表門は、竣工年月の詳細は不明ですが1924年(大正13年)に竣工した門衛所と同じ頃に造築されたと思われます。現状は門扉が1993年(平成5年)に木製から鉄製に更新されていますが大谷石の門柱、土塁など建設時の姿を維持しており、国立天文台天文台の歴史を語る貴重な施設です。緑豊かな天文台にある歴史的建造物を見学に来る人々を迎え入れる基点となっています。
