自然科学研究機構 国立天文台

機械学習が導き出したブラックホールの成長メカニズム

研究成果

本研究の概念図
本研究の概念図。機械学習により、ブラックホールと本体の銀河の組み合わせを多数テストし、その中から実際の観測と最もよく一致する組み合わせを選ぶ。(Credit: H. Zhang, M. Wielgus et al., ESA/Hubble & NASA, A. Bellini) オリジナルサイズ(2MB)

銀河の中心にある超巨大ブラックホールの成長と、銀河本体の成長とは、どのように関係しているのでしょうか。機械学習を用いた研究によって、その深いつながりが導き出されました。この研究は、数十年来の仮説を裏づけるものになりました。

ほとんどの銀河の中心には、超巨大ブラックホールが存在すると考えられており、その質量は、太陽の数百万倍から数十億倍にも及びます。このような超巨大ブラックホールが、どのようにして速く成長するのか、またそもそも、どのように作られるのか、天文学者は長年この謎に取り組んでいます。

アリゾナ大学や国立天文台の研究者を中心とする国際研究チームは、機械学習を用いて、この謎の解明に挑みました。まず、超巨大ブラックホールが時間とともにどのように成長するかを予測するための機械学習の基盤を構築し、それを用いて多数の成長法則を提案しました。次にそれらの法則を使って、一つの仮想宇宙で何十億個ものブラックホールの成長をコンピュータで再現しました。最後に、仮想宇宙を「観測」して、実際の宇宙で観測されるブラックホールと特徴が一致するかどうかをテストしたのです。何百万もの法則をテストした後、既存の観測結果を最もよく説明できる法則が選び出されました。その結果、超巨大ブラックホールの成長は、宇宙誕生から数十億年の間が最も活発で、以降はたいへんゆっくりと進むことが分かったのです。

一方で銀河は、新たな星を形成する速度が、宇宙誕生から数十億年でピークに達した後、時間とともに減少して、やがて星形成が停止するというふるまいを示してきたことが以前から知られていました。今回の研究では、銀河の中心にある超巨大ブラックホールも、銀河本体と同じ時期に成長し、その後に成長が止まることを示すことができました。これは、数十年来の、銀河におけるブラックホールの成長に関する仮説を裏付けるものです。

しかし、この結果は、さらなる疑問を投げかけています。ブラックホールの大きさは、銀河本体に対してたいへん小さいものです。ブラックホールが銀河と同じ時期に成長するためには、スケールが大きく異なるガスの流れを同期させる必要があります。ブラックホールと銀河とがどのようにしてそのバランスを保っているのか、今後の研究による解明が待たれます。

この研究成果は、Zhang et al. “TRINITY I: Self-Consistently Modeling Halo-Galaxy-Supermassive Black Hole Connection from z = 0-10”として、英国の王立天文学会誌に2022年10月16日付で掲載され、同11月25日付で編集版が出版されました。

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