自然科学研究機構 国立天文台

ガンマ線バーストの残り火を使って宇宙を測る

研究成果

今回の研究の模式図。ガンマ線バースト(ジェットを噴き出している光点)を用いて宇宙の膨張を測定している。
今回の研究の模式図。ガンマ線バースト(ジェットを噴き出している光点)を用いて宇宙の膨張を測定している。(クレジット:国立天文台) オリジナルサイズ(2.6MB)

ガンマ線バーストは、宇宙で最もエネルギーの高い爆発現象の一つです。すばる望遠鏡などによる観測データを解析し、このガンマ線バーストを「ものさし」にして天体までの距離を測る、新たな手法が開発されました。宇宙空間がどのように膨張してきたかを、高い精度で測定する新しい手段として注目されます。

遠くの天体の距離を測るためには、観測された特徴からその光度、すなわち真の明るさがどれくらいかを推定できる天体が有用です。このような天体は「標準光源」と呼ばれ、実際に観測される明るさから、天体までの距離を知ることができます。明るい標準光源としてよく知られているのはIa型(いち・えーがた)超新星ですが、さらに明るいガンマ線バーストを使うことができれば、より遠くの天体の距離も測定できることになります。

ガンマ線バーストの発生後は、数日にわたって「残り火」とも言える残光が可視光線で観測されます。国立天文台の研究者を中心とする国際研究チームは、すばる望遠鏡などがこれまでに観測したガンマ線バーストを起こした天体500個のデータを解析しました。そのうち179個には、バースト発生後1日前後で残光の明るさがほぼ一定となる「プラトー」と呼ばれる期間がありました。そしてさらに詳細に調べた結果、プラトーの継続時間と最も明るい時の明るさ、そしてプラトーが終わった時の明るさの間に相関関係があることが分かったのです。

この相関関係を用いると、ガンマ線バーストの光度を推定でき、その光度と実際に観測された明るさとを比較することで、天体までの距離を求めることができます。その結果、宇宙の膨張率などをより高い精度で決めることが可能になることが示されました。将来、この関係を用いた宇宙論の研究が進むことが期待されます。

本研究成果は、Dainotti et al. “The Optical Two and Three-Dimensional Fundamental Plane Correlations for Nearly 180 Gamma-Ray Burst Afterglows with Swift/UVOT, RATIR, and the SUBARU Telescope”として、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・サプリメント・シリーズ』に2022年7月21日付で掲載されました。

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