自然科学研究機構 国立天文台

三つ子星の周りで見つかった、互い違いの原始惑星系円盤

研究成果

図:アルマ望遠鏡が観測した若い星オリオン座GW星の周りの原始惑星系円盤。
アルマ望遠鏡が観測した若い星オリオン座GW星の周りの原始惑星系円盤。3本のリングのうち、最も内側のリングがほぼ円形に見える一方で、外側の2本のリングは縦に伸びた楕円形に見えます。リングは実際には円形に近いと仮定すると、内側のリングはほぼ正面から、外側の2本のリングはやや斜めの角度から見ていると考えられ、リングの傾きが異なることがわかります。この画像には写っていませんが、中心には若い三連星があります。 (クレジット:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello) オリジナルサイズ(315KB)

若い三連星「オリオン座GW星」の周囲に、3重の塵(ちり)のリングが存在していることが、アルマ望遠鏡を使った観測から分かりました。中心にある三連星の軌道面と3本のリングは、同じ平面上には無く、最も内側のリングが特に大きく傾いていることも明らかになりました。この三連星を取り巻く塵のリングの性質や成因を探ることで、連星系の周りでの惑星の形成を理解する手がかりが得られると期待されます。

太陽は単独の星ですが、天の川銀河の星の過半数は2つ以上の星が互いに回り合う「連星系」として生まれることが知られています。2つの太陽を持つ太陽系外惑星も多く存在しますが、三連星の周りを回る惑星は発見されていません。三連星の周りでは惑星が作られにくいのでしょうか?惑星は、若い星の周りを取り巻いていた塵とガスの円盤(原始惑星系円盤)の中で作られます。つまり、連星系の周りの原始惑星系円盤を調べることは、連星系周囲での惑星の形成についての理解につながるはずです。

カナダのビクトリア大学や工学院大学、国立天文台などの研究者から成る国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、地球から約1300光年の距離にある三連星オリオン座GW星を観測しました。この三連星は、地球と太陽程度の距離を互いに回り合うA星とB星、そこから8倍ほど離れて回るC星から成ります。観測の結果、オリオン座GW星を取り巻く原始惑星系円盤は、三連星の軌道の数倍から数十倍の直径を持つ3本のリングで作られていることが分かりました。さらに詳しく分析したところ、3本のリングは中心の三連星の軌道面に対して大きく傾いていることも明らかになりました。特に、最も内側のリングは残る2本のリングとは大きく異なる傾き方でした。しかし、シミュレーションでは、三連星の重力だけでは最も内側のリングの大きな傾きを再現することができませんでした。

一方、別の研究チームは、同じオリオン座GW星をアルマ望遠鏡と赤外線望遠鏡とを用いて観測して、リングのさらに複雑な形状を報告するとともに、大きな傾きのリングが三連星の重力だけでも作られ得ると報告しました。リングの成因についての議論は続いていますが、いずれにしてもオリオン座GW星は、連星の周りの複雑な環境における惑星形成を理解するために重要なサンプルとなりました。

この研究成果は、 J. Bi et al. “GW Ori: Interactions between a Triple-star System and Its Circumtriple Disk in Action”として、2020年5月20日発行の米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載されました。なお、独立した研究成果として、S. Kraus et al. “A triple star system with a misaligned and warped circumstellar disk shaped by disk tearing”が、2020年9月3日発行の米国の科学雑誌『サイエンス』に掲載されました。

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