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2024年3月の星空情報

著者近影内藤誠一郎(国立天文台 天文情報センター)

2024年3月の星空情報です。

春分を迎える3月。日の短い季節が過ぎ、日を追うごとに遅くなっていく日の入りの後に、 西の空に注目しましょう。

夕方の空でひときわ明るく輝く木星も、だいぶ西に傾いています。13日から14日にかけて、細い月が木星の近くを通り、目を引く光景になります。

15日に、月はおうし座のすばる(プレアデス星団)に近づいて見えます。ただし、月の明るさに負けて、すばるは肉眼では見つけにくいかもしれません。双眼鏡などがあると見やすいでしょう。

1月には夜明けに見えた水星が、今度は夕方に観察のチャンスを迎えます。見かけ上太陽から最も離れる「東方最大離角」が25日。その前後の日の入り後、西の空に輝く木星よりもずっと低空に目を凝らしましょう。

20日は春分。太陽は天の赤道を横切り、天の北半球へと入っていきます。これからは昼が長くなっていきます。

3月の月の暦

4日:下弦 10日:新月 17日:上弦 25日:満月

ワンポイント・アドバイス(春分)

3月の祝日「春分の日」は、「春分日」、すなわち太陽が「春分点」を通過する瞬間(春分)を含む日と決められています。

地球から太陽の動きを見ると、「黄道」(注1)上を日々移動していく太陽が、「天の赤道」(注2)を南から北へと通過していく点が「春分点」です。春分の日を境に、太陽は天球の南半球から北半球へと入ります。地上の北半球にある日本から見ると、この時期から太陽が空にある時間、つまり昼の時間が長くなっていくのです(注3)

太陽の運行の計算に基づいて決められる「春分の日」の日付は年によって変わり、2024年は3月20日です。日本の祝日を定める「国民の祝日に関する法律」では、春分の日には「自然をたたえ、生物をいつくしむ。」という意味が記されています。美しい夜空も自然の魅力の一つ。春の星空に親しみましょう。

  • (注1)地球の公転面と仮想的な天球の交わる大円。地球から見ると天球上の太陽の移動経路に相当する。
  • (注2)地球の赤道面(自転軸に垂直な面)を延長した面と天球の交わる大円。
  • (注3) 日の出・日の入りの計算上の定義(太陽の中心ではなく上端が地平線に接する瞬間で、大気による見かけの浮き上がり効果も含む)が関係して、日の出・日の入りを昼夜の境界とする場合は、昼の長さがぴったり一日の半分になる日は春分からずれる。

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