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解像度と電波干渉計

チャナントール高原に展開するアルマ望遠鏡のアンテナ群(空撮)(Credit: Guy Wenborn)

電波望遠鏡は、大きく分けて、天体からの電波を集めるアンテナと集めた電波を電気信号に変換する受信機部(フロントエンド)、光ファイバーなどで信号を送る伝送系、そして、信号処理をして電波から天体の情報を取り出す分光計や相関器(バックエンド)から構成されています。

アンテナに求められる性能には、一般的に、暗い(電波の弱い)天体まで見える「感度」と、天体の構造をできるだけ細かく見分ける「解像度(分解能 (注1))」があり、前者は集光面積(口径の2乗に比例)、後者は口径によって決まるため、基本的にはアンテナの口径が大きいほど高い性能を持ちます。

(注1) 「分解能」は、天球面上の信号分布を見分ける能力(空間分解能あるいは角分解能))だけでなく、信号の波長や周波数など、電磁波のエネルギーを分ける能力にも使われる。後者については、「電波分光」も参照。

解像度とアンテナの大きさ

望遠鏡が見分けられる角度には、おおよそ(観測する電波の波長)÷(望遠鏡の口径)という関係があり、同じ波長の電磁波であれば口径が大きいほど解像度が高くなる一方、同じ口径であれば波長が短いほど解像度が高くなります。そのため、波長の長い電波観測で、たとえばすばる望遠鏡に匹敵する高い解像度を実現するためには、極めて巨大なアンテナが必要となります。しかし、巨大になるほど精度の高い鏡面を維持しながら精密に駆動させるのは困難になり、実際に1つのアンテナとして実現されているのは、口径数十メートルから数百メートル(くぼ地を利用して地面に固定したもの)までです。

電波干渉計の仕組み

単一のアンテナを大きくする代わりに、「複数のアンテナをつなぎ合わせて1つの電波望遠鏡を構成する」のが、アルマ望遠鏡をはじめとする「電波干渉計」です。

電波干渉計の仕組みを考えるため、まず2台のアンテナで1つの天体を同時に観測するケースを考えます。電波のやってくる方向によって、電波がアンテナに到達するまでの距離が変わり、電波の到達時間に差が生じます。2台のアンテナが同時に受ける電波の位相のずれから遅延量を逆解析することで、アンテナに対する電波の飛来方向を決定できるのです。位相差が信号の重ね合わせ(干渉)に現れるため「干渉計」と呼ばれます。現代の電波干渉計の基本となる開口合成の技術を開発したマーティン・ライルは、この業績で1974年のノーベル物理学賞に輝いています。

図1:電波干渉計の原理。2台のアンテナに対して傾いた方向の天体から来る電波は、それぞれのアンテナへの到達時間に差を生じる。この時間差から、電波の飛来する角度を測定できる。(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

この方法では、アンテナ間の距離(基線長)を大きくするほど、微小な角度の変化でも遅延を検知できるようになるため、1台のアンテナでは実現できない高い解像度を得ることができます。アルマ望遠鏡では、最大で16キロメートルの基線長にアンテナを展開します。解像度の点では、口径16キロメートルの巨大なアンテナが出現したことに相当します。先に述べたように、解像度は観測周波数によっても変わります。アルマ望遠鏡は、最も高い観測周波数帯(最も短い波長帯)で、視力1万2000(注2)に相当する最高解像度を実現しました(国立天文台ニュース2026年夏号記事「アルマ望遠鏡で挑む究極の解像度の天体画像」)

実際には、アンテナが2台だけでは基線に直交する面にある天体では電波の遅延が生じないため、多数の望遠鏡を配置することで、それぞれ異なる間隔や方向の基線で情報を取得することができ、天球上に広がる電波の強度分布を知ることができます。アルマ望遠鏡は、総数で66台のアンテナを建設しています。さらに、地球の自転によって観測天体に対するアンテナの位置が刻々と変化していくことも利用して、より正確に電波分布を測定できるのです。

(注2)視力1は、角度の1分角=1度の60分の1を見分ける能力

図2:2台のアンテナでは、基線長に直交する面上の電波源(図中の2天体)では到達時間差が生じない。多数のアンテナを面的に展開することで、それぞれのペアが異なる基線を持ち、電波源の空間分布を測定できるようになる。(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

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公開日:2026年8月28日

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