自然科学研究機構 国立天文台

No.216(2020年6月19日発行)天文学者による出張授業「ふれあい天文学」 他

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   国立天文台 メールニュース No.216(2020年6月19日発行)
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■天文学者による出張授業「ふれあい天文学」
■星が誕生する領域の詳細な電波地図作り
■秋山特別客員研究員が文部科学大臣表彰の若手科学者賞を受賞
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■天文学者による出張授業「ふれあい天文学」

 国立天文台は、多くの小中学生に天文学に興味や親しみを持っていただくこ
とを目的に、天文学者が全国の小学校・中学校に出向いて授業を行う事業
「ふれあい天文学」を2010年度より毎年実施しています。例年40名以上の天文
学者がこの「ふれあい天文学」を通じて、星の誕生のしくみ、ブラックホール
の不思議といった天文学の話題を各地の教室に届けています。
 2020年度は、例年とは形式を変え、ビデオ通話システムを利用した遠隔授業
を中心とした「ふれあい天文学」を実施します。状況が許す場合には天文学者
が学校に出向き、安全な方法での授業を計画します。
 現在、今年度の実施校を募集中です。応募の締め切りは2020年8月31日です。
授業の内容、実施日程、授業の方法については相談の上で決定します。応募方
法等の詳細についてはウェブサイトをご覧ください。

 この事業は、国立天文台天文学振興募金に寄せられた多くの皆様からのご厚
意により成り立っています。今後の事業継続のため、皆様のご理解とご支援を
お待ちしております。

 ▽出張授業「ふれあい天文学」実施校募集中
  https://www.nao.ac.jp/news/topics/2020/20200601-fureai.html

 ▽ふれあい天文学
  https://prc.nao.ac.jp/delivery/

 ▽天文学振興募金
  https://www.nao.ac.jp/bokin/


■星が誕生する領域の詳細な電波地図作り

 宇宙空間には、平均で1立方センチメートルあたりに気体分子が1個程度とい
う希薄なガスが存在しています。そしてそのガスの中のところどころには、
濃い星間ガス雲が漂っています。太陽のような恒星はこの星間ガス雲から生ま
れますが、その誕生の過程は可視光線では見ることができません。しかし、星
間ガス雲は電波を放射することから電波望遠鏡で観測が可能です。

 国立天文台をはじめとする多くの大学の研究者から成る研究チームは、野辺
山宇宙電波観測所45メートル電波望遠鏡による観測データから、星が誕生する
領域の詳細な電波地図を作成しました。
 研究チームは、オリオンA領域、わし座領域、 M17領域という3つの星形成領
域について詳細な電波地図を作成しました。特にオリオンA領域については、
米国を中心とする国際研究チームと連携し、電波干渉計で取得した高解像度の
観測データとの合成を試み、その結果、今までにない精細な電波地図を作り上
げることに成功したのです。この領域では、約3200天文単位という太陽系の60
倍のサイズに相当する細かい構造まで、星間ガス雲の分布が描かれています。
 アルマ望遠鏡は非常に高い解像度を誇りますが、視野が狭く、広い領域を観
測するには長い時間が必要です。アルマ望遠鏡で長い観測時間を確保するのは
難しく、今回のような規模での広域の電波地図を作ることはできません。今回
作成した電波地図は、オリオンA領域の星間ガス雲を世界最高の解像度で描い
た広域の電波地図と言えるでしょう。

 国立天文台は、45メートル電波望遠鏡で得た観測データを次世代の研究の土
台として残すことを目的とした「レガシープロジェクト」を、2014年から2017
年にかけて進めてきました。今回の成果はその一つで、太陽系近傍の星形成領
域について詳細な電波地図作りを進める「星形成プロジェクト」によるもので
す。

 ▽星形成プロジェクト:近傍の星形成領域の電波地図作り
  https://www.nro.nao.ac.jp/news/2020/0323-nakamura.html


■秋山特別客員研究員が文部科学大臣表彰の若手科学者賞を受賞

 国立天文台 水沢VLBI観測所 特別客員研究員で、米国国立電波天文台 ジャン
スキーフェローの秋山和徳(あきやまかずのり)さんが、令和2年度 科学技術
分野の文部科学大臣表彰の若手科学者賞を受賞しました。受賞対象となった業
績は「M87ブラックホールシャドウ撮影における画像解析法の研究」です。

 世界中の複数の電波望遠鏡を組み合わせる大規模な観測手法でブラックホー
ルシャドウの撮影を目指す国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレス
コープ(Event Horizon Telescope、以下EHT)」は、楕円銀河M87のブラック
ホールシャドウの画像を2019年4月に公開し、世界中の注目を集めました。秋山
さんはこの世界初となるブラックホールシャドウの撮影に向けて、観測データ
を画像化する手法の研究、そして画像化ソフトウェアの開発をとくに精力的に
行ってきました。その研究が、EHTによる世界初の成果に大いに貢献する結果と
なったのです。

 ▽令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定について
  https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00187.html

 ▽秋山和徳 (NRAOジャンスキーフェロー) が令和2年度 文部科学大臣表彰 
  若手科学者賞を受賞
  https://www.miz.nao.ac.jp/eht-j/c/news/announce/20200409-1

 ▽史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、
  楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
  https://www.nao.ac.jp/news/science/2019/20190410-eht.html


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2020年6月19日
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