国立天文台 メールニュース
No.151(2015年8月14日発行) 太陽系外の惑星系に名前をつけよう ― 一般投票開始 他
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.151 (2015年8月14日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■太陽系外の惑星系に名前をつけよう ― 一般投票開始 ■第6回国際科学映像祭開催 ■明かりをけして星をみよう ― 伝統的七夕の夜にライトダウンを ----------------------------------------------------------- ■太陽系外の惑星系に名前をつけよう ― 一般投票開始 国際天文学連合 (International Astronomical Union、以下 IAU) が2014年 から進めてきた、太陽系外惑星系 (以下、系外惑星系) に名前 (愛称) を付け る企画が、このたび大きな節目を迎えました。 現在までに発見されている系外惑星系の数は1200以上に上ります (http://exoplanet.eu/catalog/ による) が、このうち20の系外惑星系の愛称 をこれから決定します (注1)。すでに世界中の天文クラブや非営利団体から IAUに提案された複数の愛称候補の中から、一般個人による投票を通じて愛称 が決定されます。 この一般投票が、8月12日 (世界時) の系外惑星系命名記念式典を機に開始 されました。式典はホノルル (米国ハワイ州) にて開催中のIAU総会の一部と して行われ、一般投票の最初の一票は、式典の中でIAUの当企画グループのメ ンバーによって投じられました。 この投票にはウェブサイト"NameExoWorlds" (http://nameexoworlds.iau.org/) を通じて世界中の誰でも参加が可能で、気に入った系外惑星系の名前に一票を 投じることができます (注2)。投票期間は2015年10月31日 (世界時) までです。 投票期間終了後、一般投票の結果を参考にIAUによる審議が行われ、11月中旬に 20の系外惑星系の愛称が決定され、発表される予定です (注3)。 今回愛称が決定される20の系外惑星系の中には、日本の望遠鏡で発見された ものが多く含まれています。おうし座イプシロン (アイン) や、HD 104985 な どを主星とする6つの系外惑星系は、国立天文台岡山天体物理観測所の188セン チメートル望遠鏡を用いて発見されました。また、HD 149026 を主星とする系 外惑星系は、系外惑星探査の国際チームによりすばる望遠鏡などを用いて発見 されたものです。 また、みなみのうお座の1等星フォーマルハウトや、ふたご座のポルックス のように、肉眼で簡単に見つけられる明るい恒星を主星に持つ系外惑星系も含 まれています。 一般投票の方法や、20の系外惑星系についての解説などをまとめた日本語の ウェブサイトが、日本天文協議会「IAU 太陽系外惑星系命名支援ワーキンググ ループ」により提供されています。関心のある方は、このウェブサイトを参考 にしながら、ぜひ一般投票にご参加ください。 注1:愛称が付けられるのは、惑星系を持つ恒星とその恒星を回る個々の惑星 です。ただし、このうちすでに固有名を持つ恒星には新たな愛称は付け られません。今回愛称が付けられるのは、固有名を持たない15の主星と、 20の系外惑星系に属する32の惑星となります。 注2:1台のパソコン、スマートフォンなどから1回のみの投票が可能です。 学校などで複数名が1台のパソコンを使って投票する場合は、重複投票 にあたらないことを申請する必要があります。詳細は日本語サイト http://exoplanet.jp/proposal/vote/voting.html を参照のこと。 注3:当初はIAU総会の期間中に決定された愛称の発表が行われる予定でした が、スケジュールが変更になり、IAU総会開催期間中に一般投票が開始 されることになりました。 ▽国際天文学連合プレスリリース (2015年8月12日) (英語) NameExoworlds Contest Opens for Public Voting http://www.iau.org/news/pressreleases/detail/iau1511/ ▽NameExoWorlds (英語) (国際天文学連合) http://nameexoworlds.iau.org/ ▽惑星系に名前を!―太陽系外惑星系に名前をつけよう (日本天文協議会 IAU 太陽系外惑星系命名支援ワーキンググループ) http://exoplanet.jp/ ▽国立天文台 メールニュース No.144 (2015年4月23日) 「太陽系外の惑星系に名前をつけよう」 http://www.nao.ac.jp/mailnews/data/0144.html ▽国立天文台 メールニュース No.145 (2015年4月28日) 「太陽系外の惑星系に名前をつけよう【続報】」 http://www.nao.ac.jp/mailnews/data/0145.html ■第6回国際科学映像祭開催 科学映像を楽しむイベント「国際科学映像祭」が、今年も8月1日から9月30日 までの2カ月間にわたり、全国各地の科学館、プラネタリウム館、シアターなど を会場に開催中です。今年のテーマは、国際連合が定める「光と光技術の国際 年」 (通称「国際光 (ひかり) 年」) にちなみ、「光」。「光」をテーマに多 様な視点から制作された科学映像を多くの方にご紹介します。 期間中は、開催会場でさまざまな科学映像が上映されるほか、「スタンプラ リー」も開催されます。また、この国際科学映像祭のメインプログラムである 「ドームフェスタ」が、9月23日から26日までの4日間、郡山市ふれあい科学館 (福島県郡山市) にて開催されます。このドームフェスタでは、さまざまなドー ム映像および科学映像作品の上映、招待講師による講演会などが行われます。 ご参加には事前のお申し込みが必要です (申し込み締め切り8月31日)。 多くの皆様のご来場をお待ちしています。 詳細は、第6回国際科学映像祭のウェブサイトをご覧ください。 ▽第6回国際科学映像祭 http://image.sci-fest.net/ ■明かりをけして星をみよう ― 伝統的七夕の夜にライトダウンを 伝統的七夕の夜に明かりを消して、暗くなった夜空に輝く天の川を見上げよ う、と呼びかける「伝統的七夕ライトダウン」キャンペーンが、2011年から行 われています。 伝統的七夕ライトダウン2015推進委員会は、今年の伝統的七夕 (注) にあた る8月20日の夜とその前後の夜に、不要な照明を消したりカーテン等で遮った りして、暗くなった夜空に輝く星々を見上げようと呼びかけています。伝統的 七夕の夜は、日の入り後の空に上弦前の月が輝き、月没後の夜空には七夕の星 と天の川を楽しむことができます。 2015年は国際連合が定める「光と光技術の国際年」 (通称「国際光 (ひかり) 年」) です。この機会に私たちの生活に欠かせない光について、そして夜空を 照らす光による「光害 (ひかりがい)」についても考えてみましょう。また、 終戦から70年というこの年に、星空を心から楽しむことができる平和な未来が 続くよう、伝統的七夕の夜空を彩る星々に願いを託してはいかがでしょう。 このキャンペーンに賛同し実施される天体観望会などのイベントが、全国各 地で開催されます。また、このキャンペーンの紹介やライトダウンの実施など といった協力を表明されている個人・団体も多く集まっています。 皆さんもぜひお近くのイベント会場へ足を運んで、伝統的七夕の星空をお楽し みください。また、当日まで協力の表明も受け付けています。 注:二十四節気の処暑を含む日か、それよりも前で処暑に最も近い朔 (さく) の瞬間を含む日から数えて7日目としている。2015年は8月20日が伝統的 七夕の日。 ▽伝統的七夕ライトダウン2015 (伝統的七夕ライトダウン2015推進委員会) http://7min.darksky.jp/ ▽伝統的七夕について教えて 国立天文台 よくある質問 http://www.nao.ac.jp/faq/a0310.html _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2015年8月14日 _____________________________________________________________________