国立天文台 メールニュース
No.37 (2011年4月28日発行) 土星の環を飾る「プロペラ」模様、ほか
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.37 (2011年4月28日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■土星の環を飾る「プロペラ」模様 ■「電波天文観測実習」参加者募集[野辺山] ----------------------------------------------------------- ■土星の環を飾る「プロペラ」模様 国立天文台の研究グループは、重力多体問題専用計算機GRAPE-DRを用いた大 規模シミュレーションから、土星の環 (わ) に見られる「プロペラ構造」の形 成機構を世界で初めて明らかにしました。 土星の環は、無数の氷粒子でできていると考えられており、土星探査機によ る観測で、多様な構造が存在することが明らかになってきました。特に最近は、 「プロペラ構造」と呼ばれる長さが数百メートルから数キロメートルの長い滴 状の二つの対称的な構造が注目されています。 このプロペラ構造の形成機構を解明するため、多くの研究が進められていま すが、現在では、環の中に埋もれた数十メートルから数百メートル程度の微小 な小衛星によって作られるという説が最も有力です。 今回の研究では、多様な構造を持つ土星の環や小衛星の特性をより忠実に再 現した、1カ月におよぶシミュレーションを行いました。従来の汎用計算機で は困難だった、このような大規模なシミュレーションが、GRAPE-DRを用いるこ とで可能になり、プロペラ構造の詳細な形成条件を世界で初めて明らかにする ことができました。 この成果は、2011年5月10日発行の米国の天体物理学専門誌『アストロフィジ カル・ジャーナル』に掲載される予定です。 ▽土星の環を飾る「プロペラ」模様 http://www.cfca.nao.ac.jp/~michikoshi/release/ ■「電波天文観測実習」参加者募集[野辺山] 国立天文台野辺山宇宙電波観測所では、45メートル電波望遠鏡を使った「電 波天文観測実習」の参加者を募集しています。 この実習のねらいは、天文学に関心をもつ大学生の皆さんに、研究の最前線 で活躍中の45メートル電波望遠鏡を使った観測を通じて実際の電波天文学に触 れていただくことです。参加者には、望遠鏡の操作、データ取得・解析、結果 のまとめをしていただきます。特に専門知識は必要ありませんが、大学で物理 実験を経験していることが望ましいです。関心をお持ちの多くの方のご応募を お待ちしています。 日程:2010年8月1日 (月) より5日 (金) まで 場所:国立天文台野辺山宇宙電波観測所 対象:大学の理科系学部 (教育学部の理科系も含む) に属する学生 応募方法等の詳細は、ウェブサイトを参照のこと ▽電波天文観測実習 (国立天文台野辺山) http://www.nro.nao.ac.jp/~nro45mrt/misc/45school.html _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2011年4月28日 _____________________________________________________________________