国立天文台 メールニュース

No.33 (2011年3月22日発行) 太陽観測衛星「ひので」が今サイクル初の巨大フレアを観測、ほか

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    国立天文台 メールニュース No.33  (2011年3月22日発行)
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もくじ
■太陽観測衛星「ひので」が今サイクル初の巨大フレアを観測
■ペルーのシカヤ宇宙電波観測所でファーストウェーブ受信に成功
■板垣さん、ヘルクレス座方向にある銀河に超新星を発見
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■太陽観測衛星「ひので」が今サイクル初の巨大フレアを観測

 2011年2月15日午前10時44分 (日本時間) に太陽表面で発生した巨大フレア
を、太陽観測衛星「ひので」のX線望遠鏡、可視光・磁場望遠鏡が捉えました。
 太陽活動は、前サイクルの極小期が延び、今サイクル (第24活動周期) が
2009年に始まりましたが、これまでのサイクルより活動の立ち上がり方が低く、
大きなフレアも発生しない状況が続いていました。今回のフレアは、今サイク
ルで最初の大規模フレアとなります。今後は太陽活動もより活発になり、今回
を上回る大規模なフレアが頻発することが予想されます。
 このフレアの画像と動画を、国立天文台ひので科学プロジェクトのウェブサ
イトで公開していますので、ぜひご覧ください。

 ▽ひので:今サイクル初の巨大フレアを観測
  http://hinode.nao.ac.jp/news/110311Flare/


■ペルーのシカヤ宇宙電波観測所でファーストウェーブ受信に成功

 南米ペルーのアンデス山脈にある高原都市ワンカイヨの郊外には、かつて衛
星通信に使われていた直径32メートルのパラボラアンテナがあります。これを
電波望遠鏡に改造し、ペルーにおける宇宙電波観測を推進する計画が、2002年
から、ペルー地球物理研究所 (IGP) と国立天文台、および日本の研究者らによ
り進められてきました。
 この32メートルアンテナを有するシカヤ宇宙電波観測所では、2011年2月25日 
(ペルー時間)、メタノールメーザー源である天体からの信号を初めて受けるこ
とに成功しました。これは、シカヤ宇宙電波観測所の大きな一歩です。
 星が誕生する領域では、メタノール分子による強いメーザー放射があること
が知られており、これを観測することで星の誕生の現場で何が起こっているか
を推測することができます。
 今回の観測成功によって、今後このシカヤ宇宙電波観測所で星の誕生につい
ての研究が進められる見通しが立ったとともに、ペルーで数少ない研究機関、
そして初めての宇宙電波観測所として、これから多くの若い研究者を育て、
ペルーの天文学と宇宙物理学の進展の拠点になることが期待されています。

 ▽ペルーの電波望遠鏡を支援する会
  http://www.peru32m-telescope.net/


■板垣さん、ヘルクレス座方向にある銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、2月21日 (世界時) 
の観測から、ヘルクレス座方向にある銀河 IC 1277 の中に18.3等の超新星を
発見しました。この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新
星は「2011ap」と命名されました。

 ・発見日時 2011年2月21.856日 = 2月21日20時33分 (世界時)
 ・発見位置 赤経 18時 10分 28.40秒
       赤緯 +31度 0分 34.2秒 (2000年分点)

 なお、この超新星は、母銀河の中心から東に14秒角、北に23秒角の位置にあ
ります。

 板垣さんによる超新星の発見は、今年に入って2個目、通算では68個目 (独
立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多
記録をさらに更新中です。

 ▽参照
  CBET No. 2670 : SUPERNOVA 2011ap IN IC 1277 = PSN J18102840+3100342
   (2011 Mar 10)

 ▽日本人が発見した超新星一覧
  http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2011年3月22日

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