今週の一枚

「明治20年8月19日日食九分九厘餘」(天文奇現象錦絵集)

「明治20年8月19日日食九分九厘餘」(天文奇現象錦絵集)

「天文奇現象錦絵集」のうちの1枚です。前半は1887年8月の皆既日食についての時間帯と、白河から佐渡にかけては皆既日食になることが記されています。後半では1786年(天明6年)正月以来の101年目の皆既日食 (注)であるとし、日食の間は色が奇異に見えること、皆既中は少しも物事を見分けることができないなどと記されています。実際には、皆既中は夕方や明け方のような薄明になり、この絵に描かれているように明るい星であれば見ることができます。 日食を見上げる人々が描かれていますが、和装の多い中で人力車に乗った男性、警官、父親に連れられた子どもは洋装であり、また三脚台の上でカメラを構えている人もいる等、当時の世相が現れています。

(注)図中では1786年(天明6年)の日食が皆既日食であるように記されていますが、記録によると金環食だったようです。 本文へ戻る

画像データ

制作年月日1887年(明治20年)
制作者小林新吉
クレジット所蔵 国立天文台

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