今週の一枚
太陽の活動を追った電波望遠鏡、三鷹での余生
太陽から降り注ぐのは、明るい陽光と暖かさ――可視光線や赤外線だけではありません。太陽活動が活発になると、激しい爆発現象「太陽フレア」が起こります。フレアの発生には磁場が重要なはたらきをすると考えられており、そのメカニズムの解明には電波望遠鏡が活躍しています。この望遠鏡はかつて野辺山に設置され、太陽フレアで加熱された高エネルギーの電子が放射する電波を観測していました。現在は運用を終了し、三鷹キャンパスに静かに展示されています。
太陽電波観測の歩み
電波による太陽の観測は、第二次世界大戦のすぐ後から始まりました。1949年に三鷹の東京大学附属東京天文台(国立天文台の前身)につくられた太陽電波観測専用のアンテナが、現在野辺山に復元されています。 太陽の電波観測の拠点は三鷹から1969年に開所された野辺山太陽電波観測所へとうつります。1971年、太陽観測用の電波干渉計が建設されました。周波数160メガヘルツの電波を観測する直径6メートルと8メートルの大型パラボラアンテナ17基、そして17ギガヘルツで観測する直径1.2メートルのパラボラアンテナ12基です。1992年まで観測に使われていた1.2メートルアンテナの1台が、三鷹に移設され、保存されています。現在では観測には使用されていませんが、今でも太陽から来る電波を受信することができます。
文:内藤誠一郎(天文情報センター)
画像データ
撮影日時 | 2012年7月31日 |
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撮影者 | 長山省吾 |
クレジット | 国立天文台 |