自然科学研究機構 国立天文台

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「明治十六年十月三十一日 太陽金環蝕の図」(天文奇現象錦絵集)

貴重書・

「明治十六年十月三十一日 太陽金環蝕の図」(天文奇現象錦絵集)

「天文奇現象錦絵集」のうちの1枚です。1883年(明治16年)10月31日の金環日食前に出された号外で、色鮮やかであり、庶民が日食を歓迎している雰囲気がよく表されています。現代と異なり資料の乏しい中、想像で描かれた金環の色が内と外で逆転しています。

説明文では、金環日食は地球上でたいてい毎年どこかで起こっていることを述べ、続いて日本では40年前(1839年(天保10年))に起こったこと、その時これは豊年の兆しであると老人が語ったとされ(注:出典不明)、今年も豊作であると書かれています。

金環日食が見られるのは磐城と陸前の国境・阿武隈川から越後と羽前の国境・西海岸に至る地域のため、天文学を志す人達は仙台地方へ出発すると書かれていますが、残念ながら日食時の仙台は曇りだったようです。

絵の下では、豊年の兆しであるという言葉を受けて、金環を「商売が忙しくなって米が安くなるとはありがたやありがたや」「ヲヤまあうれしいねえオホホ」などと、庶民がわいわいと見上げている図になっています。 江戸より以前は日食が不吉とされることが多かったのですが、それを払しょくするような内容です。庶民の賑やかさに、現在の天体ショーの鑑賞に通ずるものを覚えます。