自然科学研究機構 国立天文台

彗星の起源に迫るディープインパクトの衝突探査

天体写真・

彗星の起源に迫るディープインパクトの衝突探査

ディープインパクト探査機の子機が木星族彗星のテンペル第一彗星に衝突してから1時間~数時間後の様子を中間赤外光で捉えた連続写真です。赤色は炭素に富む物質を、緑色はケイ酸塩(普通の岩石の主成分)に富む物質を表しています。衝突後数時間にわたって、彗星内部物質が宇宙空間に扇状に急速に広がっていく様子が見えます。この結果は、木星族彗星と長周期彗星の構成物質が非常によく似ていることを示しており、彗星の起源論に大変重要なデータとなりました。

長周期彗星と木星族彗星

長周期彗星と木星族彗星は、吹き出す塵やガスの種類も勢いも大きく異なります。それぞれ太陽から数万天文単位(AU)の距離にあるオールトの雲と30〜50AU付近にあるカイパーベルトから主に来ていると考えられています。この2つの大きく異なる場所にある天体の組成がお互いに類似するのか否かは、太陽系の起源を理解する上で非常に重要な情報です。

ですが、この2つの種類の彗星の違いが、ガスや塵が枯渇度の違いなのか、形成当時からの構成物質の違いなのか、分かりませんでした。

どちらが正しいかは、ガスや塵が枯渇している木星族彗星の表面を剥ぎ取って、新鮮な内部を掘削して観測してあげれば判明するはずです。この観測がディープインパクト探査の目的でした。

観測当夜はマウナケア山頂で観測状況を見守っていましたが、活動が衰え気味の木星族彗星内部から、新鮮な長周期彗星に典型的なケイ酸塩粒子が激しく吹き出てきて非常に驚きました。両者の内部は類似した成分を持っていたのです。

文:杉田精司(東京大学)